アウディは8日、『R8』のレース専用車、「R8LMS」の2010年モデルのデリバリーを開始した。第1号車は英国のチームへ納車。日本円で1台3670万円のマシンは、すでに2010年生産分が完売している。
R8LMSは、FIA(国際自動車連盟)が認定するGT3カテゴリーに参戦するために開発。巨大なリアウィングは最高速度300km/h超という領域で有効なダウンフォースを獲得するためのアイテムで、地を這うように低められた車高やフロントフードに追加されたエアインテークなども、ベース車両のR8と異なる。
エンジンは直噴V型10気筒ガソリンの「FSI」で、最大出力は500psオーバー。FIAの規定により、フルタイム4WDの「クワトロ」は後輪駆動に変更された。トランスミッションは6速シーケンシャル。ボディやシャシーの生産はアウディの子会社、クワトロGmbH行い、ハンガリー工場で組み立てられたV10エンジンを載せて完成する。
R8LMSは2009年のデビューシーズン、いきなりの大活躍。76レースで23勝を上げ、3つのタイトルを獲得した。
2010年モデルの第1号車は、英国ヨークシャー州に本拠を置く「ユナイテッドオートスポーツ」に、2台を納車。これに続いて、アウディは4月半ばまでに、全12チームに車両を引き渡す。1台29万8000ユーロ(約3670万円)のマシンだが、2010年生産分はすべて完売したとのことだ。
R8LMSは今シーズンも、欧州GT3カテゴリーの各種レースに参戦するが、ドイツのニュルブルクリンクとベルギーのスパ・フランコルシャンで行われる24時間耐久レースにも出走予定。2010年モデルはシャシー&サスペンションのセッティングを煮詰め、エンジン冷却性能や電気系、排気系をアップグレード。新開発の6速シーケンシャルトランスミッションも、採用されている。
アウディモータースポーツのWolfgang Ullrich代表は、「昨シーズンのノウハウを生かして、2010年モデルのR8LMSは、さらに進化した。いっそう扱いやすく、信頼性を高めている」と、自信をのぞかせている。