メルセデスベンツ S63 AMG、571psツインターボ搭載へ

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S63 AMGプロトタイプ
S63 AMGプロトタイプ 全 12 枚 拡大写真

ダイムラーは9日、メルセデスベンツの高性能車開発部門、AMGの新しい直噴5.5リットルV型8気筒ツインターボエンジンの詳細を明らかにした。同時に、このエンジンを先行搭載する『S63 AMG』プロトタイプの、新オフィシャル写真も公表された。

赤いボディカラーにデカール類が目立つS63AMGプロトタイプは、「300SEL 6.8AMG」へのオマージュ。同車は1971年、ベルギーで開催された24時間耐久レース、「スパ・フランコルシャン」において、初出場ながら2位という快挙を成し遂げた。同車の活躍によって、メルセデスベンツのチューナー、AMGの名前は広く知られるようになったのだ。

AMGの新V型8気筒エンジンは、現行「63シリーズ」に広く採用されている6208cc・V型8気筒NAエンジンの後継機種として開発された。M157型と呼ばれるスプレーガイデッド方式の直噴エンジンは、排気量は5461ccへ縮小。しかし、2個のターボチャージャーを装備してパワーアップするとともに、ピエゾインジェクターやAMG初のアイドリングストップなどによって、環境性能も引き上げられている。

新エンジンは、S63 AMG(排気量は5.5リットルだが、性能は現行S63 AMGを上回るため、グレード名は不変)に先行搭載されるが、その最大出力は544ps/5500rpm、最大トルクは81.6kgm/2000 - 4500rpm。現行S63比で、19ps、17.4kgmのパワーアップに成功している。

トランスミッションは、7速2ペダルMTの「AMGスピードシフトMCT-7」。新しいS63AMGは、0-100km/h加速4.5秒、最高速250km/h(リミッター作動)という一級のパフォーマンスを披露する。それでいて、欧州複合モード燃費は9.52km/リットル、CO2排出量246g/kmと、現行S63比でそれぞれ25%、28.5%の改善を果たした。

AMGはさらなる高性能を求める顧客のために、「AMGパフォーマンスパッケージ」を用意。ターボのブースト圧を1.0バールから1.3バールに引き上げるなどの専用チューンを受け、最大出力は571ps/5500rpm、最大トルクは91.8kgm/2500 - 3750rpmと、圧倒的スペックを獲得する。571psの最大出力はフラッグシップスポーツ、『SLS AMG』と同数値。91.8kgmの最大トルクは、SLS AMGを25.5kgmも上回る。

AMGパフォーマンスパッケージ仕様のS63AMGは、0-100km/h加速4.4秒、最高速300km/h(リミッター作動)と、スーパーカー並みの性能。それでいて、欧州複合モード燃費は9.52km/リットル、CO2排出量246g/kmと、標準エンジンと同一だ。

新エンジンは従来どおり、AMGの「one man, one engine」の思想に従って、ひとりのエンジニアが完成までの全工程を担当。エンジンはオールアルミ製で、単体重量は204kgに抑えられる。新エンジンはS63AMGに先行搭載され、9月に欧州発売。その後、『CL63AMG』など、AMGファミリーに採用される予定だ。

BMWは、『M3』の2010年モデルにアイドリングストップ機能を導入。ベントレーは、『コンチネンタルSS』シリーズをバイオ燃料に対応させた。フェラーリも今年のジュネーブモーターショーにおいて、ハイブリッドの実験車を披露している。今後、ハイパフォーマンスカー分野でも、環境対応への取り組みが加速すると見ていいだろう。

《森脇稔》

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