副変速機構付CVT。なにやらむずかしい名前だが、そんなこと軽自動車のメインユーザーであるアラサー&アラフォー女子には、わかりゃしない。
なに言っちゃってんだかと思いつつ、でも、乗ればすぐにわかるのが面白いところ。静かなのである。軽自動車の弱点といえば、さらにCVTの弱点といえば、アクセルを踏み込んだときのエンジンのうなり音ではなかったか。それが超少ない。
『アルト』ってこんなに静かなんだっけ? と、見直すほどの快適な車内は特筆ものである。もちろん音が静かなだけでなく、ゼロ発進加速がすごくいい。これが副変速なんちゃらの威力というものか。
しかも、よくよく車内を見渡すと、シフトレバー操作時のしっかり感。ウィンカー&ライトのスイッチのまともさ(リッチ感と書くと語弊があるが、十分な品質感あり)。シート生地もいいし、なんたって、ゆるゆるぶかぶかだったはずのハンドルが、それっていつの時代だったっけ? と、自分の記憶力をさぐるほどぴしっと決まって動かしやすいのである。
悪かったよ、アルト。キミはいつのまにかこんなに進化していたんだね。私は30年後、アルトに乗って街を走り回る、日本の正しいおばあちゃんになりたいと本気で思ったよ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト
1962年横浜市出身。いま一番購買力があるとされるアラフィー世代を代弁する軽妙な論調に定評あり。交通安全啓蒙に力を注ぐほか、子供たちに命の大切さを伝えるノンフィクション作家としても活動。近著に『ハチ公物語 - 待ちつづけた犬 -』(講談社青い鳥文庫)。