国交相、高速割引廃止の理由は「効果が小さい」

自動車 社会 行政
前原大臣(撮影=中島みなみ)
前原大臣(撮影=中島みなみ) 全 2 枚 拡大写真

発表から廃止までわずか1週間。電光石火の早業で首都高速と阪神高速の「ピーク割引」と「オフピーク割引」の“廃止”が断行される。

現在実施中のピーク割引(10%オフ)の今年度の財源は、国土交通省が「高速道路料金社会実験」から拠出されている。3月31日までの今年度予算は約100億円だった。継続するためには、来年度予算でも計上されていなければならないが、それがなかった。ピーク割引は高速道路会社が企業努力で割引を続けていたが、オフピーク時に交通を誘導するオフピーク割引が廃止されれば、その意味がなくなるため、同時に終了することになった。

前原氏は予算計上されなかったからではなく、そもそもこの割引制度の効果を“仕分け”したことを強調する。23日の閣議後会見で前原国交相は、取りやめは「既定路線」とさらりと言ってのけた。

「オフピーク割引は、渋滞削減効果が小さい。中止は昨年末に高速道路会社に伝えてあった」(同上)

しかし、その“既定路線”をほとんどの人は知らなかった。都市高速の料金制度について前原首相は「無料化の対象から除外する」と語り、NEXCO系の高速道路無料化とは別にして、ひとまず棚上げしたかに見えた。割引廃止や料金制度の見直しは、まるで降ってわいたような話だ。

高速道路会社の関係者は「何年も続けた割引をやめるなら、ある程度の周知期間は必要。せめて2週間前には公表したかった」と、実質値上げの影響を懸念する。

渋滞削減がどのくらい見込めなかったのか。同省有料道路課の担当者はその社会実験の結果とりまとめは「実験が3月末日まで続くこともあり、まだ時間がかかる」とし、その結果公表についても、時期や方法は未定だという。

利用者が注目する上限1000円に変わる割引制度は「時期がきたら…」と先送り。そんな状況で、早々と割引廃止だけが打ち出される。これが本当に高速道路の段階的無料化のプロセスなのだろうか。

《中島みなみ》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  2. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  3. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  4. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  5. 夏の風物詩「鈴鹿8耐2025」、2人体制のホンダが4連覇、6年ぶり参戦のヤマハは2位健闘
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る