三菱重工業は7日、米国アーカンソー州に風力発電設備の組立工場を建設すると発表した。当面の生産能力は年間約60万kWで、回復基調にある北米市場の需要を取り込み、米国でのシェア拡大を目指す。
この組み立て工場は、風力発電設備の中核機器であるナセルを生産するためのもので、当面の生産能力は、年間約60万kW。生産開始は2011年後半を予定しており、同社が海外でナセルを生産するのは初めてとなる。ナセルとは、風力発電設備のタワー頭頂部にある風力を電力に変える装置。
新工場は、アーカンソー州のフォートスミス市に建設し、運営・管理は、同社の原動機事業の米国子会社であるミツビシ・パワー・システムズ・アメリカ(MPSA)がおこなう。工場用地として約36万平方mの土地を確保しており、年内には着工する予定。従業員数は当初300人規模となる見通し。
当面は、同社の主力大型機種である2400kW風車を年間約250基生産する方針で、その後段階的に生産量を増やしていくとしており、今後需要の伸長が予想される低風速域向け長翼機種の投入も検討している。
今回の工場建設には州と市政府による優遇策が付与されるほか、連邦政府の再生エネルギー事業に対する税優遇制度措置の対象にもなっている。