【池原照雄の単眼複眼】期待値は「中くらい」のトラック規制特需

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竹内覚社長
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大型車は9月に「ポスト新長期」が施行

ディーゼル車の新しい排ガス規制である「ポスト新長期」に対応した大型トラックが相次いで発売される。2008年の金融危機後、国内需要のドン底にあえぐ普通トラック(大中型クラス)業界にはこの規制前の駆込み需要などで流れを変えたいところだが…。

ディーゼルトラックの「ポスト新長期」規制は、大型トラックで規制前よりNOx(窒素酸化物)を65%、PM(粒子状物質)については63%を低減するという世界でも最先端の内容となる。

大型車は2010年9月、中型車は2011年9月以降に販売する新車に適用される。ディーゼル乗用車同様に、トラックも「クリーンディーゼル」の時代に突入するのである。

20日にはUDトラックスと日野自動車が規制適合の大型車を発表、UDトラックスは同日から一部車種について、日野は7月から発売する。いすゞ自動車と三菱ふそうトラック・バスも近々に適合車を発表する。

◆減税・補助金効果出ず、需要はドン底

2009年4月以降、国内ではエコカー減税と同補助金の支給が相次いで始まり、乗用車の需要喚起につながっている。だが、購入する企業にとっては「設備投資」に相当する普通トラックの新車需要は、減税や補助金による効果が充分波及する状況にはなっていない。

2009年度の国内普通トラック需要は前年度を33%下回る約4万2000台に低迷。直近では、現行の排ガス規制による駆込み需要が顕在化していた2005年度の半分以下に落ち込んでいる。

トラック業界では、大型車の「ポスト新長期」規制が施行される9月までに現行モデルの駆込み需要、同月以降は規制に適合した新モデルへの需要の高まりを期待している。

◆規制対応へのコストアップは100万円

20日に適合車の一部を発売したUDトラックスの竹内覚社長は「基本的には今年度も厳しいが、(現行モデルの)駆込みと政府のインセンティブもあるので足元の需要は少し回復してきた」と言う。ただ、力強さはまだないというのが実感のようだ。

エコカー補助金は、「ポスト新長期」が施行される9月までなので、現行モデルの駆込みは7、8月がピークとなる見込み。また、9月には新モデル(規制適合車)が登場するとともに、補助金が終わる月なので新モデルへの一定の需要押し上げ効果は期待できる。

しかし、10月以降は反動が必至だろう。大型トラックの場合、規制適合へのコストアップは業界平均で「100万円前後」になるという。「新モデルは燃費など維持費の抑制につながるという、お客さまの声も少なくない」(竹内社長)ものの、先行きの販売動向は楽観できそうもない。

《池原照雄》

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