輸入車勢が揃って撤退してしまった東京モーターショーと違い、世界一の自動車マーケットとなった中国で開催される北京モーターショーは主要自動車メーカーの多くが参加している。
クルマ好きなら、海外旅行気分で日本から見に行くだけの価値はあるだろう。アジア最大級の自動車ショーだけあって、フェラーリやロールスロイスなど高級ブランドからどこかで見たことがあるような気もする地元メーカーのクルマまで見ごたえたっぷりだ。
しかし、注意しないといけないのは会場までの移動手段。東京モーターショーが開催される幕張メッセと違い、北京モーターショーの会場となる中国国際展覧センター(北京市の中心からは順調でも45分以上かかる)は鉄道で行くことができない。
だから基本的にはタクシーが足となるが、会場周辺は大渋滞。帰宅ラッシュと重なる行きと帰りは街まで2時間近くかかってしまうこともあるので覚悟が必要だ。
あまりの渋滞ぶりに、前回開催時はいくつかの自動車メーカーの社長がプレスカンファレンスに遅れそうになり会場から離れた場所でクルマを降りて歩いて会場入りしたという伝説も残っている。
そして、それ以上に気をつけないといけないのが帰りの足の確保。鉄道で帰れない以上ほとんどの人がタクシーで帰ることになるが、会場周辺は完全に需要過多。道にはタクシー難民が溢れ、タクシー待ちの人に対して圧倒的に少ないタクシーを奪い合うのである。その激しさといったら、日本の大都市での、週末の夜の繁華街なんてまったく比較にならないほど。
もちろん、日ごろから生きる力を鍛えられている中国人の勢いに日本人が勝てるわけがない。よって日本人は、会場を歩き回って疲れた上に、会場からかなり離れた周囲に人のいない場所まで数十分歩いてタクシーを拾うという“苦行”が必要となるのである。
ただ、渋滞中の車窓から見ると会場の近くに鉄道を建設していた。順調にいけば、2年後のモーターショーの際には鉄道で渋滞に巻き込まれず会場に向かい、帰りのタクシー争奪戦をしないで済むかもしれない。