セーヌの岸から車を“締め出し” パリの再開発計画

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パリ市による再開発完成予想図 (C)APUR / J. C. CHOBLET
パリ市による再開発完成予想図 (C)APUR / J. C. CHOBLET 全 7 枚 拡大写真

フランス・パリ市のドラノエ市長はさる4月14日、セーヌ川周辺の再開発計画を発表した。従来から公聴会などを通じて数か月にわたり検討を重ねていたもので、2012年の完成を目指す。

計画ではセーヌ川両岸の自動車交通を大胆に制限し、代わりに公園など緑地帯を整備して、歩行者および自転車を優先する。現在自動車交通量が多い「パレ・ド・トーキョー」前、「チュイルリー公園」前を含む、セーヌ河右岸の道路も、計画対象に含まれている。 また、人工島によるカフェも設置する。

セーヌ川沿いの自動車通行量は、1日あたり3万5000台といわれている。今回の河岸再開発計画にあたっては、3月に環境保護を訴える賛成派の市民グループが、計画実現を求めるデモ行進を行なった。

いっぽうセーヌ河岸を使って市内を横断するドライバーは、迂回路を通行した場合所要時間が十数分多くかかるため、通勤者を中心に早くも反対の声が上がっている。また、従来の川岸に点在するガソリンスタンドなども、この再開発計画で、移転・客の減少など、さまざまな影響を受けると思われる。

ドラノエ市長は 02年から毎年セーヌ右岸に夏季限定の人口砂浜「パリ・プラージュ」を企画したり、07年には自転車シェアリング『ヴェリブ』を導入するなど、歩行者優先・環境重視の政策を推進してきた。今回の整備計画も、これまでの「パリ・プラージュ」の成功が背景にある。

欧州ではイタリア・フィレンツェ市でも、昨年秋から旧市街の一部で自動車の恒久的通行規制に踏み切った。パリ市は次の手段として、あのシャンゼリゼ通りの自動車交通を地下化するなどして、地上を恒久歩行者天国化すれば、周辺商業施設がより活性化すると考えるのは筆者だけだろうか。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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