【ストラーダポケット CN-MP500/MP700】「カーナビ経験者にも納得していただける機能と品質を」…開発者

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ストラーダポケットCN-MP700VD-K/CN-SP700VL-K
ストラーダポケットCN-MP700VD-K/CN-SP700VL-K 全 9 枚 拡大写真

4月下旬に発表された新型パナソニック『ストラーダポケット CN-MP500/MP700』シリーズ。大ヒットをした前モデルの登場から半年あまりにも関わらず、筐体デザインや地図/メニュー周りを刷新し、大がかりなモデルチェンジとなった。改良の狙いについて、パナソニック(株) オートモーティブシステムズ社、の国内市販ビジネスユニット・商品設計グループの北澤亮氏に話を聞いた。

◆“カーナビ経験者”が納得できる製品を

----:まず初めに、北澤さんが新型ストラーダポケット開発にあたり担当されたのはどのセクションでしょうか。

北澤:商品企画がまとめたアイディアを具体的に商品の仕様として作り上げるのが仕事です。企画から開発への橋渡し的なポジションです。

----:今回の新型ストラーダポケット開発にあたってのコンセプトは。

北澤:高性能・高品質という狙いは当初からありました。これまでよりもナビ機能を向上させるのは当然ですが、見た目や見栄えの面でも上質なものを目指しています。

----:これまで、パナソニックはいわば“万人受け”する幅広いユーザー層に向けた商品を展開してきた感がありますが、新型ストラーダポケットのMP500/MP700シリーズは、ちょっと印象が異なります。デザインを一新してプレミアムカーのインテリアにも負けない質感を得たり、新たに7V型モデルもラインナップするなど、上級志向ユーザーにターゲットを絞ってマーケティングされた商品と感じました。

北澤:ストラーダポケットはこの春モデルで第3世代になりますが、これまでの商品はカーナビ初心者を意識して開発してきました。ですが、ご購入者への調査によると、意外にもカーナビ経験者が大きなウェイトを占めていたのです。また購入理由として、“ストラーダ”ブランドを信頼して買っていただいている方も多くいらっしゃいました。こうしたいわばロイヤリティの高い層に向けて、“フルナビに匹敵する高機能”と“優れたデザイン”を狙いとしました。

----:ポータブルDVDや初期のPNDの買い替え需要も立ち上がってきましたからね。

北澤:DVDポータブルナビから買い換えされるユーザーは、大画面へのこだわりがあります。また、高級車にも乗せられるオンダッシュタイプへの需要も根強いですね。

----:ということは、新型ストラーダポケットは、購入者の多くを占めるカーナビ経験者層に向けた商品企画ということでしょうか。

北澤:カーナビ経験者でも納得していただける性能や機能を持たせれば、初めてカーナビを購入される方にもきっと満足のいくものになるはずです。ストラーダがこれまで重視してきた基本的なUIや使い勝手の向上は新型でも変わらずチューニングをつづけています。

◆“大画面ポータブルナビ”への需要は大きい

----:新型では筐体デザインを一新しました。デザイン面の見どころは。

北澤:フルフラットのフロントパネルを採用して、上質感を演出するとともに、5V型モデルでも画面をより大きく見せるデザインとしています。また、内部のメニューも外観デザインの雰囲気に合わせ、ブラックを基調とした仕様としました。カジュアルさよりも、気品のあるスタイリッシュさを前面に押し出した高機能カーナビという位置づけでアピールしたいと考えています。

----:今回7V型モデルも追加しました。大画面モデル投入の狙いは。

北澤:先ほどのDVDポータブル買い替え層の取り込みと、従来のPNDのウィークポイントとして「画面の小ささ」が挙げられますので、ラインナップを増やして大画面派のご要望にもお応えしました。

----:数年前に、パナソニックでは『HDX300』『HS400』という7V型のHDDポータブルが大ヒットしましたね。その再来という感があります。

北澤:実はお客様からもそのHS400のような大画面・大容量のポータブルナビに対する要望が今でもあります。それらを使っていたお客様にはぜひ新型ストラーダポケットを手にとっていただきたいですね。当時からは機能は大きく進化しましたし、値段もたいへんお求めやすくなっています(笑)。

◆「ランドマークセレクト」は“かゆいところに手が届く”機能

----:ストラーダシリーズの新モデルとしてこだわった点はどういったところでしょう。

北澤:フルナビも含むストラーダシリーズの特徴として、地図を大きく見せるような画面を意識しています。特に5V型は画面サイズが限られるので、アイコンやボタン類の配置を工夫すると共に、メニュー画面を隠す「OFF」ボタンを置いています。これは「ワイドマップ表示機能」と呼んでいます。また、地図の文字も大きしくて見やすさを改善しました。

----:駐車場やコンビニなど地点アイコンの選択表示ができる「ランドマークセレクト」も進化しました。

北澤:駐車場やコンビニのアイコンを表示させると都市部では地図がそれらのアイコンで埋め尽くされてしまいます。通常それらのアイコン表示はOFFにする人が多いと思うのですが、ルート案内をさせて目的地付近まで来たときに、いざ駐車場を探すとなると、設定画面の操作が煩雑だったり、走行中の操作制限で操作できません。そこで地図画面上に配置したランドマーク表示切換ボタンをタッチするだけでランドマークを表示できるようにしました。ランドマークは最大5種類の施設を表示可能です。

----:ちょっとしたことですけど、まさに“かゆいところに手が届く”機能ですね。これがあるとないとでは、ナビの使い勝手が大きく異なります。また、処理速度やレスポンスにも優れているので、“操作待ち”を強いられることがほとんどありません。

北澤:従来モデルを継承し、高速な地図スクロールや探索スピードを実現しています。ナビ機能まわりでは「迂回ルート探索」も特徴です。

----:MP500/MP700シリーズの一部のモデルにはFM-VICSが標準装備されていますが、FM-VICSではダイナミックルートガイダンスが働かないので、渋滞を回避できませんからね。

北澤:ええ。この迂回ルート探索では、2kmの範囲内で現在のルートからの迂回ルートをワンタッチで探索することができます。これも走行中の操作が可能なように地図画面にボタンを表示しています。

----:このような便利な機能は地図画面にあると使い勝手は良くなりますが、反面ボタン類を増やしすぎると地図が見づらくなるというジレンマもあります。

北澤:従来モデルでもランドマークセレクトと同じような操作は、設定画面から可能でしたが、走行中は制限される操作があったり、階層が深いためタッチ数が多く煩雑です。迂回ルート検索やランドマークセレクトといった発想そのものはマーケティングや商品企画からの提案ですが、それを実装するためにどのような仕様にまとめていくかは、わたしの仕事になってきます。

----:AV機能面でもいくつか改良が加えられました。

北澤:ワンセグでは録画機能を追加しました。1回の録画で最大2GB、約10時間程度の録画が可能です。また非SD-Audio規格のMP3やWMA再生にも対応しています。FMトランスミッターも内蔵していますので、カーオーディオでの音楽やワンセグ、音声案内の再生も可能です。

国内専用開発の強みを出していく

----:開発を国内専用に切り替え、カジュアルさを前面に打ち出した従来モデルが大ヒットして、その路線を引き続き踏襲すると考えていましたが、かなり大胆なモデルチェンジです。

北澤:とはいっても、国内専用開発という強みを活かすスタンスは変わりありません。ワンセグやVICSといった機能の標準搭載も他社に先んじて進めています。特に買い換えユーザーは渋滞情報を重視しますから。

----:地図やデータベース面では従来モデルと同じ8GBのmicroSDHCカードを採用していますが。

北澤:新モデルでは個人宅データを新たに追加しました。電話番号と名字の読み仮名を入れることで検索が可能です。なお、地図データは3月に開通したばかりの首都高速大橋ジャンクションも収録されています。

----:内蔵のストレージメモリーではなくカードを利用する理由は。

北澤:理由はいくつかあります。microSDHCカードは広く出回っていますので、コスト的にも有利ですし、カードを差し替えるだけなので地図やDBの更新がしやすいというメリットもあります。また、地図用のmicroSDHCカードスロットとは別にSD/SDHCカードスロットを側面に配置していますので、「おでかけストラーダ」の地点データや録画したワンセグ映像などのコンテンツを保存する場も用意しています。使い勝手を考慮してもダブルスロットの利点は大きいと考えています。

----:地図更新はmicroSDHCカードによる提供でしょうか。

北澤:MP500/MP700シリーズ向けには、microSDHC版だけでなくダウンロード配信による提供を検討しています。PCを利用して従来のmicroSDHCカードをそのまま書き換えるという方法です。

----:まさに新型はフルナビに匹敵する性能と質感を持って登場しましたね。ストラーダはフルナビ分野でのブランド力が確立しています。初心者のみならず経験者の利用動向も視野に入れた商品企画を他社に先んじて取り入れてきた印象です。

北澤:ユーザーの取り込みを考えると、AVNブランドの強みを活かしていく方向性は重要と考えています。今回の新モデルでは投入時期を早めてラインナップも拡充しましたので、ぜひ多くのお客様に使っていただければと思います。

《まとめ・構成 北島友和》

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