【人とくるまのテクノロジー10】クルマを問わず最適な設計をシミュレート…AVL

自動車 ビジネス 企業動向
AVLは次世代のパワートレイン開発ソリューションを紹介
AVLは次世代のパワートレイン開発ソリューションを紹介 全 5 枚 拡大写真

自動車技術会が主催する自動車テクノロジーの見本市「人とくるまのテクノロジー展」。エンジン、電気モーター、シャーシなどの設計支援システムに関して、オーストリアのパワートレイン・エンジニアリング会社、AVLリスト・ゲゼルシャフトが興味深い展示を行っていた。

【画像全5枚】

AVLは創業コンピュータによるエンジン設計のシミュレーションソフト開発・頒布から、レースカーや市販車のエンジン開発受託まで、エンジンビジネスを幅広く手がけてきた。直近では、ジュネーブモーターショー2010で姿を見せたレンジエクステンダーEVのアウディ『A1 e-tron』に採用された、発電用小型ロータリーエンジンとEVシステムを組み合わせた「AVL PURE RANGE EXTENDER」を開発したことで大いに注目を集めた。

そのAVLブースにおける展示の主役は、次世代のパワートレイン開発ソリューションだった。今日、内燃機関や電気駆動などの動力システムの効率化が非常に速いスピードで進んでいるが、それに伴って強度、燃焼、温度分布など、設計時におけるパラメーターの数々の制御点数も飛躍的に増えている。そこでAVLが提案するのは、エンジン内部の燃焼を最適化するためのECUマップを科学的モデリングの手法によってはじき出すソフトウェア「AVL CAMEO」をはじめ、複数の設計 - 試験ソフトウェアを統合した開発環境コンセプト「The True Efficiency」だ。

実際にデモンストレーションを見たが、この開発環境はなかなかすごい。CAE(コンピュータ支援設計)の完全なバーチャルデータによるシミュレーションだけでなく、試作したエンジン単体を仮想ECU(エンジン制御ユニット)で実機テストしたり、トランスミッションと組み付けた状態で仮想の車体に組み付けたりと、開発の様々な段階でバーチャルとリアルを結合して試験を行うことができるのだ。

「このシステムは、これまで膨大な工数がかかっていたエンジンのテスト作業を大幅に簡略化できるのが特徴です。また、エンジンのエネルギー効率が最高になるECUマップを探索できるだけでなく、1モーター、2モーターのハイブリッドシステム、ピュアEV、レンジエクステンダーシステムなど、クルマの種類を問わず、最適な設計値の探索やセッティングを行うことができます」(AVLのエンジニア)

エンジンやモーター、バッテリーパック、車体などの構造設計、熱分布、摩擦シミュレーションからクルマ全体の運動まで、シミュレーションの幅も非常に広い。デジタル設計の時点で、もし実車を作ったらニュルブルクリンクサーキットをどの程度のラップタイムで走れるかといったことも、かなり正確に予測できるという。エコカーをはじめ、クルマの進化はまだまだ止まらないが、クルマの設計の世界でもイノベーションが加速しているようだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ホンダの最高級ミニバンが復活か?『エリシオン』後継でアルファードに挑む
  2. 次期『ノート』が日産復活の切り札となる? 2027年登場へ、価格は約30万円上昇か
  3. 【BYD シーライオン6 AWD 新型試乗】「広い・速い・安い」この万能PHEVに弱点はないのか? 300kmを走り検証した
  4. 安いのに高品質はなぜ可能? ALNEXのプロテクションフィルムは技術と効率化が全く違う次元で施工されるPR
  5. 最廉価ハーレー=優しいハーレーとは限らない…クラシックとモダンが融合した新型『ナイトスター』
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 警察庁、高齢運転者技能検査を見直しへ 合格者の事故率を追跡調査してみたら…
  2. AIDVの開発にもAIを活用、日産がプラットフォームをデモ…AWS Summit Japan 2026
  3. 超高硬度クロムめっき、EV・半導体部品の長寿命化に貢献…大型量産設備をサン工業が稼働 
  4. 3000アンペアの急速充電に世界初成功、電動トラックの未来を切り開く…MAN
  5. 【日産 リーフ 新型】次世代EVのスタンダードを描いた、“スーパーエアロ”と“スーパーフラッシュ”デザイン
ランキングをもっと見る