【池原照雄の単眼複眼】「補助金」のラストスパートに入った国内販売

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インプレッサ XV(画像はジュネーブモーターショー10)
インプレッサ XV(画像はジュネーブモーターショー10) 全 5 枚 拡大写真
◆今月以降はさらに高いレベルに

6月になって自動車各社の国内販売部門ではムチが入ってきた。9月のエコカー補助金終了までに残すところ4か月になったからだ。

夏場に発売予定の新モデルについては、商談期間がなくなるので、情報を先行公開する動きも活発になっている。9月までどれだけ突っ走れるかだが、タマ不足に陥らず、かつ過剰在庫を抱えないよう生産部門との緊密な連携も重要となっている。

国内の新車販売は好調を持続している。5月は軽自動車を含む総台数で前年同月を22.0%上回り、昨年9月から9か月連続のプラスとなった。1月以降、コンスタントに2割強の増加が続いている。

4月と5月は、金融危機前だった2008年の同月レベルまでほぼ戻している。補助金が打ち切りとなる9月に向け、「今月以降はさらに高いレベルになる」というのが、メーカー各社の観測だ。


◆夏に投入の新モデルは先行公開

新モデル投入が夏場になってしまうケースでは、製品情報の先行公開が始まっている。ホンダは7月に投入するコンパクトワゴン『フリードスパイク』に関するホームページを5月21日に立ち上げた。実車の先行展示イベントも行う計画だ。

富士重工業(スバル)は夏に発売予定の『インプレッサ』シリーズの新モデル「VX」と「WRX STI 4ドア」の専用サイトを5月28日に立ち上げた。マツダは7月1日に発売する新型『プレマシー』の先行予約をホームページでも開始した。各社とも、発売後の営業活動では9月末までの登録には限界があると見て、予約受注の獲得に全力を挙げている。

補助金と排出ガス規制という2つの特需要因が重なっているのが、トラック業界だ。9月で乗用車同様に補助金が廃止となる一方、大型車については9月から「ポスト新長期規制」が施行される。


◆受注を読み誤ると過剰在庫のリスク

現行規制車の販売は8月末までしかできないので、大型トラックについては同月までに旧型車(現行モデル)の駆込み需要が出る。日本自動車販売協会連合会の「普通トラック」統計によると、そうした動きが顕著だ。

普通トラックの新車販売は、今年2月に実に3年4か月ぶりにプラスに転じたが、3月、4月と前年同月を2割強上回った後、5月には約1.5倍に増加した。規制に適合した新モデルは、燃費性能や安全性能が向上しているものの、100万円前後高いため、現行モデルの人気が根強いのだ。

乗用車、トラック問わず、ここ数か月は国内向け車両の生産も高水準となる。受注を得ても9月末の登録(軽は届け出)に商品が間に合わなければ顧客は他のモデルに逃げてしまう。一方で、造り過ぎてしまうと10月以降は、なかなかさばけなくなる。

補助金は、購入者が1年以上継続使用しないと、国に返還しなければならないので「自社登録」という奥の手は使いづらい。国内営業部門は需要をどう読み、生産計画にフィードバックさせるか厳しい判断も迫られている。

《池原照雄》

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