BMWは2日、フランス・パリにおいて、同社が公式に製作したものとしては17台目となる「アートカー」を披露した。BMWはこの「M3 GT2」で、12 - 13日にフランスで開催されるルマン24時間耐久レースへ参戦する。
BMWのアートカーは1975年に米国の彫刻家、アレクサンダー・カルダーが友人のレーシングドライバー、エルベ・ポーランのために描いたのが始まり。ポーランのBMW『3.0CSL』は、1975年のルマンに参戦し、速さとアートを融合させたという点で話題となった。その後、アンディ・ウォーホルやデイビッド・ホックニーなど、有名アーティストがアートカーを手がけ、一躍その存在を有名にした。
アートカーの一例を挙げると、フランク・ステラの3.0CSL(1976年)、ロイ・リキテンシュタインの「320iグループ5仕様」(1977年)、アンディ・ウォーホルの「M1グループ4仕様」(1979年)、ロバート・ラウシェンバーグ氏の『635CSi』(1986年)など。いずれも独特の世界観を表現した傑作といわれる。
2010年は、アートカー誕生35周年に当たることから、BMWは記念事業として、新たなアートカー製作を企画。BMWと20年に渡って親交のあるアーティスト、ジェフ・クーンズが、アートカーのデザイナーに起用された。同氏は1955年に米国で生まれ、絵画や彫刻などにおいて、前衛的な作品を生み出している。
BMWは2日、フランス・パリでクーンズが手がけたアートカーを初公開。レーシングカーのM3 GT2をキャンバスに見立て、前方から後方に向けて複数のラインで構成されたスピード感あふれるデザインが特徴だ。クーンズは、「M3 GT2のパワフルさを表現したかった」と語っている。
BMWはこのアートカーで、今年のルマン24時間レースへ参戦。M3 GT2は『M3クーペ』のレース仕様車で、もともとALMS(アメリカン・ルマン・シリーズ)のGT2クラスへの出走を目的に開発されたレーシングカーだ。
エンジンなどの基本メカニズムは、市販のM3クーペがベース。4.0リットルV型8気筒エンジンには専用チューンが施され、最大出力500psを引き出す。ボディパネルにはCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)が使用され、車両重量は1150kgという軽量さ。大型ウイングをはじめ、エアロダイナミクス性能も引き上げられている。
すでにM3 GT2は、今年5月にドイツで開催されたニュルブルクリンク24時間耐久レースで、総合優勝を達成。ルマンでの活躍にも、注目が集まっている。