【高速道路新料金】無料化効果検証に見る---やはりETCは必要か

自動車 社会 行政
撮影=中島みなみ
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1963年7月に日本初の高速道路「名神高速道路」(栗東~尼崎間)が開通、約半世紀を経て、高速道路の段階的無料化を前提にした高速道路無料化効果検証が実施されることになった。

政府はこの効果検証に基づき、採取的な無料化路線を決定するため、その結果がどのようなものになるか、データの蓄積と分析の方法はかなり気になる。

国交省は、無料化開始後に実績データを以下の6つのポイントに絞って実績データを抽出。

(1)一般道から高速道路への交通量の転換
(2)走行速度、回数、長さなどの渋滞の変化
(3)物流車両の利用回数、到着時間の推移
(4)主要観光地の観光客数変化
(5)他の交通機関の輸送量の変化
(6)交通事故や深夜騒音の変化

そのデータから効果と影響を5つの点に絞って分析する。

(1)時間的便益(損失)の分析
(2)物流コストへの影響分析
(3)観光等の地域への波及効果
(4)CO2排出量の増減分析
(5)他の交通機関への影響分析

22日の定例会見でこの効果検証について説明した馬淵副大臣は「リアルタイムに状況を伝えるのが大事」と語り、従来の人手をかけた調査から、ITSの技術を最大限活用したデータ収集を行うことを明言した。

一部無料化開始の28日当日に「無料化開始8時間経過の実績データを公表することも可能」と馬淵氏が話したことも、まさにETC搭載車が残すデータを活用することで初めて可能になる。

また、国土交通省が担当するETCシステムだけでなく、警察庁のトラフィックカウンターや道路交通情報通信システムのデータを合わせて活用するのも、自民党政権の縦割り省庁行政ではあり得なかったことだ。

国交省は8時間経過後のデータを皮切りに、1週間、1、3、6か月推移の実績値を公表し、その間のお盆や年末年始など繁忙期を経験することで、さらにきめの細かいデータを収集するとともに、その結果も定期的に公表する考えだ。

高速道路無料化が現実になるのではないかと思われた鳩山内閣成立当初からETC車載器の売上げは激減した。今回の一部無料化もETC車と現金車の両方が対象とするなど、高速道路の無料化はETCシステムを否定したかのような印象を受ける。

しかし、こうしてETCが効果測定に活用されたり、前原国交相がロードプライシングの観点から都市部のNEXCO系高速道路の有料化に言及。首都高速や阪神高速が対距離料金制に移行することなどを考え合わせると、ETCシステムはこれからも活用せざるを得ない状況にあることがわかってくる。

《中島みなみ》

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