広告記載に根拠を示せないネット業者 東京都が監視

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東京都消費生活部取引指導課が、ネット販売広告表示に力を入れている。09年6月から10か月間2万件のネット広告を監視。136販売事業者に改善指導した。

販売事業者のあきれた言い分を紹介する前に、同課が改善指導した広告表示例を以下に掲載しよう。

●オゾン水生成機の効能で、
「ノロウイルス、O157(腸管出血性大腸菌)を簡単除菌」
「オゾン水に浸して保存すると、足の早い食材も長持ち」

●銀糸ソックスの防臭効果を、
「臭いの原因となる黄色ブドウ球菌の増殖を99.5%抑制します」
「水虫の原因となる白癬菌などの発育や増殖を阻止します」

●銅イオンマスクの殺菌効果について、
「世界初! 銅の力で殺菌 ウイルス、花粉からあなたを守ります」
「銅イオン効果で血行が良くなり(鼻の周りが暖かくなり)鼻水、鼻づまり、くしゃみなどが緩和されます」

●他社製品との比較をするペット用の食品で、
「ローヤルゼリーの量が他製品の約2倍」
「核酸やビール酵母をはじめとする40種類以上の栄養素で生活習慣病から免疫力の向上、新陳代謝の活性化まで、この1包で何役もこなし、愛犬の元気な姿が期待できます」

一見すると、どれも科学的な分析や裏付けを取って効果や効能を表示しているようだ。しかし、取引指導課の問い合わせに販売事業者は、まったく根拠を示すことができなかった。売り手ですら、もっともらしい広告の記載が真実か否か、わからないまま販売していたわけだ。

「メーカーや仕入先からの情報をそのまま掲載した。自分は売ってるだけだから詳しいことは、そっちに聞いてくれという販売事業者も少なくなく、複数の販売事業者の別々のサイトで、まったく同じ不当表示がされているケースもあった」と、ネット広告の監視を行った担当者は、半ばあきれ顔だ。

百貨店やコンビニなど実店舗型の売上が減少を続ける中で、インターネット通販を牽引力とする通信販売は、毎年20%以上の伸びを示している。初期投資や在庫負担が軽く、その将来性を見込んで新規参入する事業者は増える一方だ。だが、その販売事業者が法律をわかっていない。

インターネットに広告を表示する場合、景品表示法が関係する。この法律では、表示内容はメーカーや仕入先ではなく、販売する当事者が責任を負うと規定し、その内容が客観的事実に基づかなければならない。また、その取引では特定商取引法が関係する。

「ネット広告に書いてあることが売買のすべてであるにも関わらず、法令で規制があることを知らないままビジネスを始める人が多い」(取引指導課)

09年度は改善指導だけだったが、同課は今後も引き続きネット上の監視を続ける。10年度、悪質性の高い事案については、社名などを公表する行政指示を行う意向だ。

《中島みなみ》

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