【トヨタ Gazoo mura インタビュー】ドライブ旅の楽しさと地域活性化をコミュニケーションでつなぐ

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ガズームラプロジェクトのキーマン、e-TOYOTA部インターネット企画室長 柴尾嘉秀氏
ガズームラプロジェクトのキーマン、e-TOYOTA部インターネット企画室長 柴尾嘉秀氏 全 12 枚 拡大写真

外部電源から車載バッテリーに充電可能なトヨタ自動車の次世代エコカー『プリウスPHV(プラグインハイブリッド)』を使ったエコラン大会が6月18日に行われた。会場となった茨城県北部の里美は、トヨタのユーザーコミュニティサイト「GAZOO(ガズー)」のドライブ情報コンテンツ「Gazoo mura(ガズームラ)」の一つである。隠れたドライブ旅の名所を発掘するガズームラのコンテンツ作りに携わる柴尾嘉秀e-TOYOTA部インターネット企画室長に、ガズームラの現在、そして未来について語ってもらった。

――里美をドライブしましたが、森あり、宿泊可能な古民家あり、またゲンジボタルが飛びそうな清流ありと、日本ならではの景観美を堪能できる山村ですね。

柴尾氏:東京からクルマで約2時間半と、距離的にはそれほど遠くないのですが、それを感じさせない静かさ、美しさがあります。本当に素敵なところだと思います。

ガズームラは、2006年末にガズーがユーザー参加型サイトとしてリニューアルした時にスタートしました。スポット情報を画像で紹介できるブログをサイト内の地図上で公開できる「G-BLOG」と連携して、村落などに住む人たちにその土地や特産物、名所などをアピールしてもらう、そしてドライブ旅ならではの楽しさを紹介するというものです。

今年6月現在、ガズームラは全国45か所に増えました。山、海、平原と、それぞれに知る人ぞ知るといった雰囲気の穴場的スポットですよ。

――最初は九州の3か所からスタートしたそうですね。

柴尾氏:はい。もともとガズームラをやってみようと思ったのは、九州でたまたま、地域活性化に取り組んでいる人と出会ったのがきっかけでした。九州には景色の良い秘境のような里がたくさんある。その地域振興のキーマンは、そんな魅力的な“ムラ”を多くの人に知ってもらい、訪れてもらうことで活性化を図りたいと考えていたんです。

私はその話を聞いて、自分でそのようなムラに出かけてみたのですが、たしかに素晴らしいんですね。いろいろな自然体験ができるのはもちろん、農泊(農家が宿泊客を受け入れ、料理を振る舞う)などを通じて、そこに住む人々の温かさにふれることもできる。都会ではとても得られない楽しみですよ。この感動をぜひ、多くの人たちにも知ってほしいと思って、九州の3か所からガズームラをスタートさせました。

――45か所に増えたガズームラですが、どのような基準でピックアップしたのですか。

柴尾氏:絶対的条件は、素晴らしい景色を持っていて、その村の良さを広く伝えたいという意思を自治体が持っていることです。現在、地域振興を志向している村のデータベースを内閣府が作っているので、それを参考にさせていただきながら、その先はひたすら足を使って探し出しています。

ただ、知る人ぞ知る穴場を紹介するというコンセプトから、すでに観光地化しているところはNG。また、自然だけでなく、人との交流ができるということで、ごく小人数でもいいので宿泊客を受け入れられるところを選んでいます。

もう一つ重要な条件は、クルマでのみ訪問可能な場所ということ。クルマで行く楽しみを知ってほしいというのが企画の目的のひとつですから。もっとも、知る人ぞ知るスポットを選んでいれば、自然とクルマでしか行くことができない場所になっていくのです。

――今後、ガズームラの企画をどのように発展させていくのでしょうか。

柴尾氏:2010年度中にムラを58か所に増やします。これで全都道府県に最低1か所のガズームラがあることになります。また、ウェブサイト上ばかりでなく、ディーラーでもガズームラを行楽先として顧客に紹介するなどしてコミュニケーションを深められるようにしたい。ディーラーは単にクルマを売る場所ではなく、クルマの楽しさを提供してくれる場所なんだなと感じてもらうのは重要なことです。

もっとも、トヨタがガズームラを使って直接ビジネスをやるということはこれからもありません。宿泊予約などのインフラ整備が一様ではないので統一したサービスなどできるはずもありませんし、手を入れすぎるとムラひとつひとつが持っている豊かな個性を弱めてしまうことにもつながりかねません。ムラがのびのびと、その地域の魅力をアピールするのをわれわれが側面支援するという形でやっていくのが一番だと思います。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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