フィアットは7日、欧州向けの『500』と『500C』に、875ccの新型2気筒エンジン「ツインエア」を搭載すると発表した。1.4リットル直列4気筒並みの動力性能を備えながら、燃費を30%向上させたダウンサイジングユニットだ。
このエンジンはフィアットの関連会社、FPT(フィアット・パワートレーン・テクノロジー)社が開発。最新の「マルチエア」技術を導入する。
マルチエアは、電子制御油圧バルブが開閉タイミングとリフト量を制御し、トヨタの「バルブマチック」やBMWの「バルブトロニック」などと同様に、スロットルバルブを使わずに、吸排気バルブをコントロール。パワーと燃費を両立させる効果がある。さらにツインエアでは、このマルチエア技術に流体力学を応用して、燃料噴射を最適化。非常に効率の高いエンジンに仕上げた。
ツインエアエンジンには、最大出力65~105ps仕様が存在するが、フィアット500と500Cには、85psの875ccターボを搭載。アイドリングストップを組み込み、CO2排出量は92~95g/km、欧州複合モード燃費は24.4~25km/リットルと、優れた環境性能を達成する。
また、最大出力は85ps/5500rpm、最大トルクは14.6kgm/1900rpmを発生。0~100km/h加速は11秒、最高速は173km/hと、1.4リットル直列4気筒エンジン並みだ。エコモードでは、最大出力が77ps、最大トルクが10.2kgmに抑えられ、1.4リットル比で最大30%の燃費改善に貢献する。
2気筒エンジンならではの軽量コンパクトな点も見逃せない。1.2リットル直列4気筒比で23%コンパクトかつ10%軽い。フィアットによると、フリクションを抑え、NVH性能も高水準にあるという。
このツインエアエンジンは、欧州向けのフィアット『500』と『500C』に搭載され、9月から販売開始。他車にも、順次拡大採用する計画だ。フィアットの2009年の1台当たりのCO2排出量は127.8g/kmと、欧州量販トップ10ブランド中、第1位。ツインエアエンジンは、フィアットの環境イメージをさらに引き上げる役割を担う。