三菱レイヨンは9日、自動車など産業用途向けの炭素繊維需要の回復が見込めるためとして、昨年3月に中断していた炭素繊維生産設備の建設工事を再開すると発表した。2011年4〜6月期中の稼働を目指す。
同社は昨年10〜12月期の稼働を目指して大竹事業所(広島県大竹市)に炭素繊維である高性能ラージトウ「P330シリーズ」の工場を建設していたが、リーマンショック後の炭素繊維事業を取り巻く環境の変化を受けて工事を中断していた。
今年に入ってからスポーツ・レジャー用途の需要が急回復し、既存設備の稼働率が高まるとともに、燃費改善のため軽量化を迫られている自動車向けなど産業用途での需要も本格化してきたため、工事の再開を決断した。
新工場は高性能ラージトウを本格生産する世界初の工場となる。ラージトウの生産能力は年間2700tと世界最大規模になる。