【日産 ジューク 試乗】日常のワクワク感を誘うデザイン…千葉匠

試乗記 国産車
ジューク
ジューク 全 12 枚 拡大写真

日産『ジューク』の販売が好調だ。某ライバル社のエンジニアから「どうしてですかね?」と問われて、ボクが答えたのは「それだけ世の中に欲求不満がたまっているということ」。エコだ、実用だ、と建前ばかりがまかり通る風潮に、ジュークのデザインが風穴をあけた。

【画像全12枚】

このデザインをひとことで評せば、「やりたい放題」。まるでボンネットにヘッドランプがあるような顔付き、クーペ的なコンパクト・キャビン、大きく張り出した前後のフェンダー。そこには「好き嫌いがあってもいい」という、作者たちの姿勢が滲み出ている。ウケ狙いではない大胆不敵さ。昨今のカーデザインが忘れていたものだ。

共感してくれる人を裏切らないのも、ジュークのデザインの美点。ボディサイズからすれば室内は広いほうではないし、ベルトラインが高いから開放感にも欠ける。でも、それは外観を見ればわかることだ。ジュークのファンがこのクルマに求めるのは、おそらくは「日常のワクワク感」。いつもと同じ景色が、ジュークに乗るとちょっと違って見える。大胆不敵なデザインが、乗る人の気分を解放する。

ただ、それにしては運転感覚がいささか真面目すぎるのが、あえて重箱のスミをつつけば気になるところ。

クーペ的なキャビンと張り出したフェンダーからキビキビとした操縦性を期待すると、ウーン、なんだか違う。とくに高速道路では、意外にもゆったりと落ち着いた乗り味。それはそれで望ましい性能ではあるけれど、デザインに抱いたワクワク感がだんだん薄れるのだよ。まぁ、そこは、いずれ追加される直噴ターボ仕様で解決される……と期待を残すところかもしれないけどね。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★

千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーランスのデザインジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. カローラクロスと立場が逆転、だからこそ生まれた「斬新セダン」のデザイン…ジャパンモビリティショー2025
  2. スクーターに求めるのは日常か、非日常か? “個性つよつよ”な2台、ヤマハ『NMAX155』とホンダ『ADV160』を徹底比較!
  3. 話題の日産の新型セダン『N7』がお目見え! 日本導入に期待せざるを得ない…ジャパンモビリティショー2025
  4. ライバルはアルファード? メルセデスベンツの最高級ミニバンが日本初公開!…ジャパンモビリティショー2025
  5. シトロエンの超小型EV『アミ』、初のマットブラック仕様「ダークサイド」登場…約157万円から
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る