【池原照雄の単眼複眼】ホンダ伊東社長、対話集会でカツ!!

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伊東孝紳社長(7月の社長会見)
伊東孝紳社長(7月の社長会見) 全 5 枚 拡大写真
◆2か月かけて全事業所を行脚

ホンダの伊東孝紳社長がこの2か月、管理職を中心とした社員との直接対話集会を精力的にこなした。2020年までの経営ビジョンをまとめたのを機に開いたものだが、リーマンショック後から業績が順調に立ち直ることで緩みがちな社内ムードを諌めるのも大きな狙いだったという。トップと管理職の危機意識のギャップは果たして埋められたのか---。

直接対話は国内の各工場や本社部門といったホンダの全事業所や開発部門子会社の本田技術研究所などが対象で、今月末まで行われる。伊東社長は就任からほぼ1年を経過した7月20日の記者会見で、今後10年の同社の方向性を「良いものを早く、安く、低炭素でお客様にお届けする」とのメッセージで示した。

会見では新興国市場の拡大や環境製品の拡充にスピード感をもって対応しなければ「ホンダの将来はないという強い危機感をもっている」とも強調していた。だが、伊東社長にはそうした危機感が社内で充分共有できていないことへの苛立ちもあった。


◆業績急回復で緩む社内を引き締める

ホンダはリーマンショック後の2009年3月期も赤字転落を回避し、11年3月期は第1四半期時点の予想で純利益が前期比7割増の4550億円まで回復する見通しとなっている。業績の急回復は、固定費の猛烈な削減や設備投資や開発投資の抑制に負うところ大なのだが、決算数次を見れば社員の間に「ウチは大丈夫」という意識が広がるのは無理のないところでもある。

ホンダにとっての本格回復は「米国市場が元気を取り戻すこと」(近藤広一副社長)だが、今のところその兆しは見えていない。定着しつつある円高も業績の下押し圧力となっており、首脳陣の表情は今ひとつ冴えない。


◆「ホンダらしさ」をめぐって応酬も

研究所での対話集会では「ホンダらしさ」の追求をめぐって、伊東社長と社員の間で激しいやりとりが行われる場面もあったという。伊東社長は2度にわたって研究所の社長を務めているが、それでもギャップがあったわけであり、対話集会は実りあるものになったといえよう。

7月の記者会見で伊東社長は、急拡大している中国特有の「電動自転車」市場に、来年参入する方針を表明した。関係者によると、これは伊東社長によるトップダウンの決定だったという。中国の地場メーカーと太刀打ちするには、従来の発想を超えたコストダウンが求められる。

「良いものを早く、安く、低炭素で」届けるという新ビジョンを具現化する最初の試金石であり、一連の対話集会の成果も試されることになる。

《池原照雄》

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