ガラッと変わった今年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。ベストバリュー賞、モーストファン賞、アドバンスドテクノロジー賞がなくなったことにより、さらに白熱した部分とおとなしく感じられた部分があったような気がしましたが、とにかく大賞は接戦でしたね。
五十音順で発表されたので、たまたまそんな展開になったとはいえ、それまでリードしていたVW『ポロ』を、だんだんとホンダ『CR-Z』が追撃!なんてドラマチックな展開。開票を見ているこちらまで、ハラハラし通しでした。
ベーシック性能の完成度の高さと、「クロスポロ」や「GTI」といったバリエーションの豊富さ、1.2リットルターボエンジン+7速DSGという環境に配慮しながらクルマが本来持つ運転の楽しさを追及するといった姿勢が高評価のVWポロ、対してハイブリッドのスポーツカーという新しいジャンルに挑戦し、新時代のクルマの楽しみ方を表現してみせてくれたホンダCR-Z。どちらも世界観があり、ジャンルがまったく違うので甲乙つけがたい。もうどれもに満点を差し上げたい。ものすごく悩んでしまって、毎日夢に数字が浮かんでくるほどでした。
ものすごく、本当にものすご~く悩んだ結果、私は『スイフト』に10点、ポロ、CR-Z、『プレマシー』、『RCZ』に投票させていただきましたが、その心は今年のクルマ業界のニュース、エコカー減税やリコール問題等々を鑑みて、クルマの原点に立ち返って評価してみようと思ったからです。
スイフトは日本メーカーが世界に送り出すグローバルカーとして、非常にマジメに作ってあると感じられました。コストパフォーマンスの高さで、バリュー度も高かったですしね。エントリーモデルをマジメに作っているかどうかで、そのメーカーの真心度がわかると思うんです。その意味では、ポロも甲乙つけがたく最後まで悩んだのですが、関税なども考慮した上で同じ装備にしたと仮定したときのコストパフォーマンスの高さでスイフトに軍配を上げました。でもどっちも同点にしたかったくらいというのが本音。今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーは本当に悩みに悩みました。
それから実行委員会特別賞に選ばれたRCZ。デザイン力が素晴らしく、憧れを抱かせるクルマだと思います。また左ハンドル仕様のほうは、ボディもガッチリ、エンジンパワーも心地よく、久しぶりに純粋な爽快感を感じさせてくれたワクワクさせられた1台でした。
竹岡圭|モータージャーナリスト
自動車専門誌を中心に、女性誌やTVなど、幅広いメディアでレポーター・コメンテーターとして活動している女性モータージャーナリスト。インプレッションやコラム、カーグッズ、旅行など、カーライフ全般を女性の視点からレポートしている。快適なカーライフをサポートするべく、実際にユーザーにアドバイスすることも大切にしている。モータースポーツにも積極的に関わり、自身も国際C級ライセンスを所持、チーム監督・ドライバーとして楽しんでいる。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J.)理事、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。