8代目となった『キャンター』のエクステリアデザインのコンセプトは“タフ&ソリッド”。タフは信頼感や力強さ、ソリッドは精密さや緻密さを表現しているという。
そのソリッドについて、三菱ふそう開発本部エンタイヤービークル開発統括部デザイン部マネージャーの神田浩史さんは、その一例としてフロントのパネル合わせをあげる。「通常コーナーパネル、フロントパネル、グリル、ヘッドランプそれぞれの合わせは、通常は同じ位置ではやりません。なぜなら、僅かでもずれると非常に目立つからです。しかし、あえて今回はチャレンジして緻密さを表現したのです」という。
また、小型トラックは街中での使用頻度が高いという特徴がある。同じくデザイン部の土出哲之さんは、「信頼感や力強さばかりではなく、どこかニュアンスのある表現もしてあげることで、街中でも嫌な印象を持たれないようにしています」と話す。
例えば、ミラー下の膨らみがある。これはミラー格納のためのモーターが収まる場所で、最初から出っ張るのは分かっていたという。「その欠点をデザインのポイントとしました。比較的力強い中にも柔らかく、すっと払ってドアに向かって消えていく影の表現(膨らみの下の部分)を入れたのです」という。「本当はデザイン上無くしたいのですがそれはできませんし、『仕方なくこうなってしまった』とはしたくなかったのです」。
いっぽうインテリアは“ライブリー&ハーモニアス”がデザインテーマ。神田さんは、「(先代の)室内の広さは非常に評価されましたが、逆に収納が足りないということや、もうちょっとリッチなインパネが欲しいという声がユーザーからありました」という。そこで、今回はそういった改善に努めた。
「これまでは機能的過ぎたので、今回は、明るく楽しく仕事をしてもらえるような空間にしています」といい、また、「DUONIC(デュオニック=三菱ふそうのデュアルクラッチトランスミッション)でだいぶ乗用車的な運転が出来る機能になってきましたので、乗用車と同じとまではいきませんが、それと同じような空間でリラックスしてもらうということは非常に大切かなと、そのあたりは特に主張したデザインとなっています」と語った。