【CAR NAVITIME vs ソニー nav-u】取付けから目的地検索までを比較

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ソニー nav-u NV-U76VT(左)とナビタイムジャパン CAR NAVITIME WND-01K
ソニー nav-u NV-U76VT(左)とナビタイムジャパン CAR NAVITIME WND-01K 全 24 枚 拡大写真

2010年の後半は低価格AVNと通信PNDが話題をさらった。とくに通信PNDはこれまでカロッツェリア『エアーナビ』だけだった市場に、ナビタイムジャパンから『CAR NAVITIME』が登場し、この11月にはPNDシェアナンバー1のサンヨーが『ゴリラプラス』で参入したからだ。

しかし、利用者にとっては月額料金がかかる通信ナビはそのコストに見合った恩恵が享受できるかどうかが選択の分かれ目となる。ここでは、スタンドアローンPND代表のソニー『nav-u』と、通信PND代表の『CAR NAVITIME WND-01K』との比較を通じて、通信ナビとスタンドアローンナビとの長所と短所を明らかにしたい。

今回、nav-uはFM-VICSに対応した『NV-U76VT』を用意。4.8V型のWQVGA液晶(480×272ピクセル)と8GBフラッシュメモリーを内蔵する売れ筋モデルだ。対するCAR NAVITIMEは5V型の液晶でこちらも解像度はWQVGA。内蔵の8GBメモリを搭載するのもU76VTと同様だ。いずれもGPSレシーバーの他に加速度センサーやジャイロを備え、PNDながら精度の高い位置検出能力を特長としている。

本体サイズはU76VTが幅141×高さ88.5×奥行17.5mmに対してCAR NAVITIMEが幅149×高さ92.5×奥行28.5mmと、通信モジュールを内蔵していることもあって若干厚みがある。

◆FM-VICSの配線が煩雑なnav-u、ボディ本体の厚みはあるがすっきり設置のCAR NAVITIME

まず取り付けだが、どちらも粘着性の吸盤タイプのクレードルを採用していることもあり、固定のしやすさは両者同等。しかし、U76VTはクレードルと吸盤の付け根部分のロック機構が少し弱いようで、段差など強い衝撃があるとロックが外れてしまうことが何度かあった。クレードルそのものとナビ本体はしっかり固定されているから、脱落の心配こそなかったが、一度外れると少し不安になる。CAR NAVITIMEはこの点しっかりしており、固定力も優れる。

またU76VTはFM-VICSのユニットとアンテナの取り回しが少々面倒だ。フロントウインドウの際に置かないと受信できないためケーブルが丸見えでインテリアもあまり美しくない。アンテナがシンプルな分、ビーコンタイプのVICSユニットの方がスマートといえる。とはいうものの、手軽に渋滞情報を入手する手段としては、FM-VICSはもっともリーズナブル。FM-VICSのみでは渋滞情報を回避したルートは出せないが、U76VTは渋滞統計情報を内部データに持っているので、このデータを考慮したルート探索が可能だ。

一方のCAR NAVITIMEは、本体こそやや大ぶりなものの、ネジ固定するクレードルは堅牢性も高い。ワンセグ用のアンテナ部分以外に突起らしい突起はなく、電源以外のケーブルもないので設置時の外観はスマートだ。このあたりは、通信搭載のPNDならではの特長を実感できる瞬間といえる。

◆洗練されたUIのnav-u、実用性重視のCAR NAVITIME

では目的地検索をしてみよう。実はこの両者、パッと見のインターフェースはよく似ている。本体左側に「現在地」と「メニュー」の呼び出しボタンが設置されているからだ(それぞれのアイコン表示もかなり似ている)。偶然の結果だろうが、もっとも使用頻度の高いこの2つの機能呼び出しを専用に設けたのは、じつに理にかなっている。

まずU76VTだが、全体的にインターフェースがとても洗練されており、見た目も美しい。タッチパネルは静電式を採用したグレアタイプで、ゲームあるいはPCのような質感がソニーらしい。地図や文字にはアンチエイリアスが施されており、文字入力は50音式とケータイ式どちらの切り替えが可能だったり、100mスケールで家形図が表示されたり、3D表示の2画面表示に対応していたりと、芸が細かい。表現力はフルナビに匹敵する。

UIの分かりやすさは初代nav-uが登場したころからも定評だったが、高機能化が進んだ現在でも、カーナビのUIとしてはもっとも優れているものの一つと言える。ただ、静電式のタッチパネルは爪先での入力を受け付けないため指の腹でタッチする必要があり、これがときおりミスタッチを誘発したことを付け加えておく。グレアタイプの画面は映り込みが気になるかと思ったが、輝度の自動調節機能がうまく働いているので違和感はなかった。

一方のCAR NAVITIMEだが、U76VTと比較すると、表示にアンチエイリアスは施されておらず文字も地図もギザギザが見えたりするが、実用上はなんら問題ない。感圧式のタッチパネルは映り込みも抑えられ、爪先でのタッチも可能で操作性はむしろこちらの方が有利だ。文字入力はATOKを採用した独自方式だが、あらゆる文字が2タッチで確実に入力できるので慣れればこちらの方が使いやすくなるだろう。

◆nav-uは個人宅検索可能でガイドブックデータも充実、CAR NAVITIMEはフリーワード検索がとにかく強力

U76VTの内蔵メモリに収録の検索データは、電話番号が個人宅含めて約3000万件、住所検索が3500万件、ジャンル検索は200万件。目的地の鮮度は当然通信型のCAR NAVITIMEが有利だが、それを補うためにnav-uでは『グルメぴあ』や『道の駅マップ』『全国日帰り温泉マップ』など各種のガイドブックデータ合計約2万件弱を収録している。特に“食”のメニューが充実しているので実用度は高い。宿泊やレジャー施設は事前に調べるが、食事については出先で決める、というケースが多いからだ。なお、ガイドブック情報はソニーが運営するWeb地図サービス「PetaMap」からのダウンロードも可能となっている。

ジャンルから掘ったり、あるいは電話番号でピンポイント検索する、といったカーナビの文法に沿った目的地検索が可能なnav-uの検索メニューには何ら不都合は感じないが、CAR NAVITIMEを使ってみると、目的地検索についての考え方が大きく異なっていることを実感する。CAR NAVITIMEはとにかく「フリーワード検索」が強力で、カーナビと言うよりネット検索している感覚だ。

カーナビタイムの検索DBはローカルに保存されておらずサーバとの通信を通じて取得する。クラウド上にあるデータは電話番号が個人宅含まず600万件、住所が3500万件、ジャンル検索650万件、グルメスポット40万件など。しかもこれらの情報はほぼ毎日更新されているため鮮度が非常に高いことも特長だ。

U76VTも含めて一般的なカーナビの場合、面商圏策をするとローカルに収録したデータベース(DB)を検索するため速度優先で前方一致での検索結果表示が普通だが、CAR NAVITIMEはサーバ側のDBを叩くクラウドサービスのため部分一致で表示できる。もちろん部分一致の方が検索にヒットする件数も多く、「新宿」「ラーメン」といった複数キーワードでの絞り込みをすると意に沿った検索結果が表示される。ネット検索ライクな使い勝手はまさにケータイナビから派生したサービスならではと言える。検索のために通信で待たされる時間もごくわずかで、nav-uと比べても遜色ない。

次回は、実際にナビゲーションさせた時のインプレッションをレポートしよう。

《北島友和》

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