「大晦日の騒ぎ」に頭を抱えるイタリア

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シエナの年末。2010年12月
シエナの年末。2010年12月 全 5 枚 拡大写真

年末イタリアでは、人々が盛り上がる大晦日を前に、さまざまな対策が講じられている。ナポリ県のカステッラマーレ・ディ・スタービア町は12月、路上でガラス瓶入りアルコール飲料を飲むことを禁じる町長令を発令した。

イタリアの町では、「聖シルベストロ(聖シルベスター)の日」といわれる大晦日の晩、多くの人々が広場に集まる。彼らは年越しカウントダウンのあとで、各自が持ってきたシャンパンなどを注ぎあい、周囲の人々と乾杯をして祝うのが習慣だ。

しかし空き瓶の清掃作業や、破損した破片による怪我は、毎年各自治体の悩みの種だった。そうしたなか、同町の町長は、ガラス瓶による飲酒の規制に踏み切った。年末は、都市警察官を増員して警戒にあたる。同様の条例は、観光地として有名なカプリ島でも制定された。

紙やプラスチックの容器などで飲めば規制の対象外となるが、「まるで禁酒法だ」といった反対意見も、酒類を販売する周辺の飲食店などから上がっている。

だがイタリアの大晦日行事に関する、より重大な問題は爆竹や花火だ。遊び方を間違ったり、安全規格の適合品でないものを使用することによる事故が毎年後を絶たない。2010年には509人が負傷。うち17人は全治40日以上の重傷を負った。とくに南部カンパーニャ州では70人以上が病院に運ばれた。前年の09年にもイタリア全国で382人が負傷、1人が死亡した。

そうしたことから毎年イタリアで元日のニュースは、爆竹や花火による事故のニュースが、いわば“おきまり”だ。

警察は毎年末になると、正しい爆竹や花火の遊び方を指導するため、中学校を巡回して教室を開いたりもしている。また、露天商による不正な製品販売の取り締まりも強化している。26日にも南部バリで750kgの不正な花火が摘発され、関係者8名が逮捕された。また、この季節の爆竹や花火そのものを条例で禁じた自治体も現れた。ある町では、爆竹を使用した場合、240ユーロ(約2万6000円)の反則金を課す。

参考までにイタリア中央統計局が9月に発表した15〜24歳の失業率は27.9%。1999年以来最悪の数字だ。若者たちの発散したい気持ちと、街の秩序のバランスをどうとるか、イタリアの自治体ならではの微妙なハンドリング・テクニックが年の瀬まで求められている。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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