【トヨタ ヴィッツ 新型発表】走りと乗り心地、ライバルは C3 や 207

自動車 ニューモデル 新型車
ヴィッツRS新型
ヴィッツRS新型 全 6 枚 拡大写真

トヨタのグローバル戦略の中核を担うコンパクトモデル、新型『ヴィッツ』(12月22日発表)。欧州を含めたグローバル市場での競争力強化のため、走行性能と乗り心地についても大幅な性能引き上げを行ったという。

「とくに欧州では、操縦安定性と乗り心地はクルマの競争力を高めるうえで重要なポイントなんです。欧州市場にはシトロエン『C3』やプジョー『207』をはじめ、強敵が多数存在しています。それらのモデルに操安や乗り心地で対抗できなければ、新型ヴィッツの成功はない。そう考えて、徹底的にチューニングを行いました」

クルマづくりの監修役である製品主幹の一人、菅野伸介氏は語る。

新型ヴィッツは、クルマの基本部分を旧型モデルから流用する「キャリーオーバー」モデルだ。どのメーカーにも共通することだが、オール新設計のときにはクルマの性格がガラリと変わり、キャリーオーバーの時には走り味や快適性が熟成されるという傾向がある。他のトヨタ車では『クラウン』が好例だ。旧型のゼロクラウンが走行性能を大幅に高め、全長の短いV6搭載に合わせてパッケージングを全面刷新して登場。同じプラットフォームを使った現行モデルでは荒削りだった乗り心地が劇的に改善され、静粛性も向上し、熟成が図られた。

「オール新設計のときは、数万点にのぼる部品を1台のクルマとして上手く調和させるためのすり合わせに大変な時間がかかるんです。キャリーオーバーの場合はその時間が短くてすむぶん、サスペンションのバネやショックアブソーバー、緩衝材などについてどういう組み合わせがより良いのか、多くのパターンをテストする時間的余裕があるんです。乗り心地のチューニングについては徹底的に煮詰めることができたと自負しています」(菅野氏)

サスペンションチューニングだけではない。ボディもホイールベース延長などの大手術を行ったついでに、リアのハッチバック開口部の四隅やリアフェンダーまわりなどを補強するなどのチューニングを行ったという。ボディの性能が上がれば、サスペンションの固さへの依存度が低まり、乗り心地とハンドリングのバランスを取りやすくなるからだという。市街地での短時間試乗ではハンドリングについては確かめようがないが、乗り心地については十分体感可能。新型ヴィッツが気になる人は、近所のディーラーでテストドライブしてみるといいだろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  3. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  4. トヨタ RAV4 新型、PHEVのEV航続は150km
  5. BMW、カーボン素材を天然繊維複合素材に置き換え、量産車に採用へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る