デンソーのカーナビ向けiPhoneアプリ NaviCon 開発者が語る、自動車とITの開発環境の違い

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NaviCon
NaviCon 全 5 枚 拡大写真

2月10日、岐阜県大垣市のソフトピアジャパンセンタービルにおいて、ぎふIT・ものづくり協議会が主催するセミナー「次世代自動車分野の新たなサービス創出に向けて〜ITS・ジオメディア・スマートフォン 新しいコラボの可能性〜」が開催された。ここで株式会社デンソーアイティーラボラトリの吉田悠一氏により、氏が開発に携わったiPhone連携ナビ「NaviCon」に関しての講演があった。

NaviConはiPhoneでカーナビを操作するためのアプリ。インストールするとBT(ブルートゥース)でナビとつながり、iPhoneを使ってナビ画面のスクロールや拡大縮小ができ、iPhoneでのネット検索結果をそのままナビに転送できるというもの。スマホをリモコン的に使ってカーナビを操るという、できそうでできなかったことを最初に実現したものだ。ただし今のところつながるトヨタ『NSZD-W60』というプレミアムSDナビだけとなっている。もちろんこのナビを製作しているのはデンソーだ。

こういったビジネス展開は開発スピードが命ということで、07年6月のiPhone米国発売からわずか半年でデモ版を作り、08年6月のiPhoneSDK(ソフトウエア開発キット)正式発表の半年前にはすでに開発が決定されていたという。しかしやっとSDKが発表されてもiPhoneはBTが使えないままで、一時は開発続行が危ぶまれた。09年6月のBTサポートアナウンスにより開発は再加速し、ついに10年4月にiPhoneアプリ「NaviCon」が公開の運びとなった。結局3年近くかかっていることになる。そして現在はURLスキーマに対応したバージョン2.00がリリースされている。

こうしたスマホなどのフレキシブルなデバイスを用いた自動車関連作業で課題となるのは、自動車用品とするには長い耐用年数とメンテナンス継続性が求められ、また徹底的な品質管理が要件となることだ。バグに対してあとで修正パッチを出せばいい、といったような対応をできないことが、開発を難しくしているという。またアップルリスクと呼ばれるアップルの対応問題もある。

例えばデンソーのiPhoneアプリをデンソーのナビにつなげることはできるが、他社のアプリをプロトコルの内容をオープンにしてデンソーのナビにつなげることはアップルとしてはNG(アップルに承認を得て,その承認を得た他社にのみプロトコルを公開することはできる)。

そこでその対策としてURLスキーマを使って他iPhoneアプリからNaviConへデータを転送する方法を取ることにし、このURLスキーマを公開する方向で、現在サイトを準備しているという。現在はまた店舗検索のTeePeeという対応アプリが一本あるだけの状態だが、提携アプリを増やすため、簡単にiPhoneアプリに組み込めるSDKも提供するとのこと。様々なアプリに組み込まれるようになれば、魅力は一気に増大する。

吉田氏は「iOS SDK Hacks—プロが教えるiPhoneアプリ開発テクニック」という単行本も書いており、App Storeへのアプリ登録者で、iOS用2ちゃんねるビューアなど様々なアプリを公開中。こうした若い研究者から見ると、自動車産業の対応の遅さ、慎重さというものが大きなネックのようだ。また現状では対応しているアプリもナビも少なく、その双方が増えることが課題であり、まだまだ道のりは厳しいという印象を受けた。なお、アンドロイド端末に関しても何らかの対応を考えているようだが、まだ発表段階ではないようだ。

《水野誠志朗@DAYS》

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