【トヨタ 欧州PHV社会実験】今後の課題は“標準化”と“コストダウン”

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プリウスPHV ストラスブールプロジェクト
プリウスPHV ストラスブールプロジェクト 全 6 枚 拡大写真

フランス有数の環境都市として知られるストラスブールは、フランス最大の河川港を持るライン川沿岸の町として、古くから商工業の両方で栄えた。現在はヨーロッパ議会の本会議場が設置されており、EUを象徴する町のひとつとしても知られている。

この町でプリウスPHVの実証試験が始まったのは、2010年のことだ。世界中で600台のプリウスPHVが用意されたが、そのうち日・米・欧にそれぞれ200台ずつが振り分けられ、なかでもストラスブールでは欧州で最多の約100台が走り回っている。この実験を通じて見えてきたPHVの可能性と課題について現地の渉外担当者に聞いた。

PHV普及への課題は少なくない。現状、EVモードでの走行距離が23.4km(JC08モード)であるが、欧米で開発されているPHVの多くはEV走行の距離が50km以上と長い。また、ヨーロッパではエコカー購入補助金の基準が国によってまちまちで、PHVの認定基準も話し合いの最中だ。

トヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME)で渉外広報を担当する山田哲也氏は、「EU内の17か国で、EVやPHVのユーザーに便宜をどうはかっていくかという話し合いが進んでいます。購入補助金やユーザーの利便性を高める法律を各国が作るためには、何を持ってEV/PHVと認定するかという基準を決めることが必要です」という。

「EVの認定基準を決めることはそう難しくありませんが、PHVの場合、EV走行できる距離がどれくらい必要かは議論のわかれるところです。現在のところ、プリウスPHVは、イギリスをはじめ、7か国でPHVの認定基準を満たせそうですが、その他の国ではまだ議論中です。ただ、実証試験で実際にクルマにのっていただくと、もっとEV走行の距離を伸ばして欲しいという意見が出ると同時に、多くの人が職場と自宅で充電をすれば一日の走行距離を賄えるようです」

PHVの場合、EV走行の距離を長くしようとすれば、電池をたくさん積まなくてはいけなくなり、価格と車両重量の増加につながるというジレンマに陥る。PHVの活躍の場は主に都市と想定されるため、1.5時間でフル充電して20km程度を走れるプリウスPHVの性能は実用にして充分と割り切る考え方も一理ある。

むしろ、課題はコストダウンのほうだろう。現在、日本では法人限定の販売価格として、525万円で設定されている。購入補助金の132万円を考慮しても、ユーザーの負担は決して安くはない。プリウスPHVが一般に市販されるの2012年までに、インフラの整備や法律による優遇などを含めたユーザーの利便性を確保した上で、いかに手の届く価格に近づけることができるかが急務だ。

《川端由美》

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