【池原照雄の単眼複眼】中国メーカー、EVからPHVへの素早い転身

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BYD F3DM(上海モーターショー11)
BYD F3DM(上海モーターショー11) 全 6 枚 拡大写真

現実的なエコカーとの認識が浸透

上海モーターショー11に出品された中国メーカーの環境対応車は、プラグインハイブリッド車(PHV)が際立っていた。電気自動車(EV)一色となっていた1年前の北京モーターショーとは様変わりだ。

【画像全6枚】

EVも展示されてはいるが、各ブースでのエコカーの主役はPHVとばかりに演出されていた。充電インフラ整備の遅れやコストなどEVの課題は少なくなく、当面の現実的なエコカーはPHVとの認識が中国メーカーに急速に浸透した様を映している。

民族系メーカーでは、2008年末にPHVの『F3DM』を発表したBYDオート(比亜迪汽車)をはじめ、吉利汽車、奇瑞汽車の民族大手3社が揃って出品した。

BYDのPHVは、「DM」(デュアルモード)と呼ぶ独自方式を採用している。2個のモーターを搭載し、発進時や低速走行時はモーター1個だけでEV走行する。加速時などパワーが必要な時はエンジンともう一方のモーターも動力に加える。

◆一汽は自社ブランド車で今秋から実証試験

トヨタ自動車の『カローラ』にそっくりのセダン『F3』にこのシステムを搭載したのがF3DMで、今年初めからは米ロサンゼルス市住宅公社と同市での実証試験にも乗り出している。上海モーターショーでは車両全体のカットモデルも展示してアピールしていた。

吉利のPHVは『帝豪EC7』というモデルで、技術説明員によると12年に生産開始するという。また奇瑞は、発売時期は未定であるものの、『G3プラグイン』というコード名で出展していた。

これら民族系3社は、HVの本格開発や実用化をパスし、いきなりPHVにアプローチしているのも面白い。吉利の関係者によると、HVに勝る燃費性能の良さや家庭で気軽に充電できるところがユーザーには分かりやすいのだという。

一方、政府系大手の第一汽車(一汽)や上海汽車も、自社ブランによるPHVを出品した。一汽の『奔騰B50』は1.5リットルのエンジンと出力40kWのモーターを組み合わせ、容量35Ahのリチウムイオン電池を搭載している。今年9月から30台を生産し、実証試験を始める計画という。

◆最大市場・中国でエコカーの主役に?

中国各社のPHVは、いずれも同国ではもっとも市場の大きいセダンであり、ボリュームゾーンに真っ向から挑む構えだ。外国メーカーもPHVは重視している。この技術で大きなアドバンテージをもつトヨタは、12年から世界で売り出す『プリウス・プラグインハイブリッド』をブース中央に配置していた。

独BMWは、13年の発売を目指す『5シリーズ』のPHVを初公開した。中国の合弁パートナーと共同開発したもので、中国側の要請を受け、ズバリ中国市場に焦点を当てたモデルとなる。

また、スズキは『スイフト』をベースにしたPHVを「レンジエクステンダー」として参考出品した。軽自動車用のエンジンを搭載し、その動力は発電のみに用いる「シリーズ式」だ。

PHVは12年からトヨタやホンダが市販を始めるものの、世界でどの程度受け入れられるかは、今のところ未知数。だが、国内外のメーカーが商品化を競う中国は注目すべき市場となろう。世界最大のマーケットで、PHVが一気にエコカーの主役となる展開もありうる気がした。

《池原照雄》

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