最近のボルボはちょっと違う。デザインが洗練されて色っぽい。この『S60』も、単に「安全第一」といった工事現場の標語のようなカタさも頑固さもなくなり、あら、どこのセダンかしら? と、思わず目を留めてしまう。シカクく大きなボルボが好きだったお兄様方には申し訳ないが、S60は、サイズといいデザインといいかなり女子にささる。
3リットルターボエンジンは、トルクも十分。AWDの安定感とボディ剛性のよさが安心感を沸き立たせ、余裕のなかでドライバーが遊ばせてもらっているというような感じ。一方の1.6リットル直噴ターボ。こちらはいわゆるダウンサイジングで燃費よしのエコカーモデル。3リットルから乗り換えたときこそ、ちょっとパワーに物足りなさを感じるものの、走らせていると3リットルよりもクルマに軽快さがあって、いいバランスにまとまっている。なにより魅力的なのが価格。これだけの装備と走りならかなり攻撃的な設定だといえる。
そして忘れてならないのが、ヒューマン・セーフティとシティ・セーフティ。衝突速度を大幅に落とすことで、事故による被害は格段に下がる。うっかりミス、ドライバーの高齢化問題、そしてドライバーの疲労軽減などその効果は高い。ドライバーが甘やかされるという批判も多いけれど、私はこうした機能を能動的に使いこなすことで、安全な交通社会を築いていくべきだと思います。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省安全基準検討会検討員他、委員を兼任。