今やスバル『インプレッサ』のメイン市場は北米だ。2010年、インプレッサの世界販売は11万台、うち5万3000台が北米で、日本はその半分。好調な販売を続ける北米でさらなる成長を見込むため、一大市場を築くCセグメントセダン市場に切り込むことが新型の使命となった。
新型は、従来型と同様にセダンと5ドアモデルを設定する。が、北米で武器となるのはやはりセダンだ。スバルは、2代目インプレッサからステーションワゴン/ハッチバックをベースにセダンの開発を行ってきた(『レガシィ』は3代目から)。ところが、今回の新型ではセダンをベースに開発が進められた。このことからもセダン、そして北米市場への力の入れようがうかがえる。
デザインを手掛けたスバル商品企画本部デザイン部の石井守副部長は、「スバルは5ドアモデルに自信がある」とした上で、「世界的に見れば5ドアハッチバックとセダンの比率は6:4でセダンが少ない。だが、北米ではCセグメントのセダンは一大市場。スバルはまだまだ(入り込めていない)。メインストリームになる、とまではいかないだろうが、このセダンの投入で5万台の販売が10万台、10数万台となっていくことができればスバルの成長につながる」と意気込みを語る。
2010年のロサンゼルスモーターショーではコンセプトモデル『インプレッサ デザインコンセプト』が発表された。「これからのスバルのクルマづくりを形にしたモデル」として紹介されたが、これもセダンだった。「発表の場が米国だったこともあり、注目を集めるためには人気のセダンを出す必要があった。それで、その時すでにほぼ完成しつつあった新型セダンをベースにショーアップしてお披露目した」(石井氏)。
新型インプレッサは、モデルチェンジにより大型化したレガシィで取り逃がしたユーザーの受け皿にもなる。ダウンサイズ志向が強まりつつある米国において、新型のインパクトは小さくはないだろう、という。レガシィの販売が好調なこともあり、フロントマスクやホイールアーチなど、共通の意匠を採用、スバルブランドのクルマであることを主張する。
北米Cセグメントセダンで最も売れているのはフォルクスワーゲン『ジェッタ』だ。石井氏は「ジェッタを超えたい。ホンダ『シビック』のデザイン、マツダのスポーティさ、これらを凌駕していかなければ、という気持ちで作った。スバルの技術力、真面目さを表現できたと思う」と、その思いを語った。