トヨタ、東南アジアの対流圏オゾン層濃度を予測できるシミュレーションを開発

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トヨタ自動車は、豊田中央研究所、中国の清華大学、インドのエネルギー資源研究所(TERI)、豪州の国際応用システム分析研究所(IIASA)と共同で、東南アジア全域の対流圏オゾン濃度を予測できるシミュレーションを開発した。

今回開発したシミュレーションは、東南アジアの各国・地域でエネルギー消費量の抑制と温暖化・大気汚染の原因物質の排出量削減を同時に検討することに寄与するとしている。

オゾンは紫外線を吸収し地上の生態系を保護する役割を担っている成層圏のオゾン層が知られているが、地表面から上空約10kmまでの対流圏に分布するオゾンは光化学スモッグの主要因となり、人体に有害で植物の成長も阻害する大気汚染物質。また温暖化に影響を与える温室効果ガスとしてCO2、メタンに次いで濃度低減が求められている。

しかし、対流圏オゾン濃度の予測は、発生源から大気中へ直接排出されるものではなく、種々の発生源から排出されるNOx(窒素酸化物)とVOC(揮発性有機化合物)が大気中で光化学反応をすることで生成されるため困難だった。

アジアの新興国の経済発展に伴って様々なエネルギーの大量消費による対流圏オゾン増加の影響で、都市レベルから地球全体に及ぶ環境悪化が懸念されており、自動車も含めた大気汚染の原因物質の排出量削減が求められている。トヨタは、東南アジア全域で解決すべき大気汚染問題として対流圏オゾンの濃度低減を目指し、人の健康被害や植物生育への影響を緩和する方策の立案のため、各国研究機関と共同で対流圏オゾンの濃度予測の研究に取り組んできた。

今回開発したシミュレーションでは、対流圏オゾンの濃度予測の精度をより高めるために、東南アジア各国・地域毎の現状のエネルギー消費量と将来のエネルギー政策を踏まえた今後のエネルギー消費量、CO2やNOx、VOC排出量を使って気象条件を考慮した対流圏オゾン濃度を予測できる3次元大気質モデルを活用した。

今回開発したシミュレーションは、将来のエネルギー政策を踏まえたエネルギー消費量まで加味して、東南アジア全域の対流圏オゾン濃度を予測できることが特長で、これにより対流圏オゾン低減のために必要なエネルギー政策、CO2削減シナリオ、大気改善シナリオを総合的に検討することが可能となる。

トヨタではこのシミュレーションが東南アジアの各国・地域で広く活用され、エネルギー消費量、CO2排出量の抑制と対流圏オゾン低減を両立させるために有効なエネルギー政策の立案などに貢献していきたいとしている。

シミュレーションに関する情報を共有するため、5月26日、27日の2日間、中国の清華大学で「国際ワークショップ」を開催する。

《レスポンス編集部》

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