【ポロ、フィアット500、ゴルフ】燃費ベスト輸入車、支払い総額を比較する

エコカー 燃費
e燃費アワード輸入車トップ3の見積もりを徹底比較。最もお財布に“エコ”なのは…?
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50万人以上が参加する燃費管理サービスの『e燃費』は、一般自動車ユーザーから投稿された実用燃費データをもとにこの春「e燃費アワード2010-2011」を発表した。今回はこれらの中でも、カタログ燃費達成率が高い「輸入車」部門に注目。ランキング上位の3台についての見積もりを比較し、燃費、車両価格、装備の違いからお買い得度を検証する。

輸入車部門トップ3とそれぞれの実用燃費は以下の通り。

1位:VW ポロ TSIハイライン…16.4km/リットル
2位:フィアット 500…15.9km/リットル
3位:VW ゴルフ TSIコンフォートライン…15.0km/リットル

欧州を代表するコンパクトファミリーカー2台とプレミアムコンパクトの対決となった。今回は3台ともに、装備・オプションは最小限、残価設定を含めた5年ローン・60回払いを前提とし、頭金を80万0000円(ポロのみ端数あり)、ボーナス時支払額を5万0000円という条件に揃えた。6月現在、都内ディーラーでの見積もり例となる。

残価設定型ローンは、ローン金額の一部をあらかじめ残価(据え置き価格)として最終回(5年ローンの場合は60回目)の支払金額に設定し、残りの部分を分割で支払うというシステムで、月々の支払額を軽減することができるのがメリット。ブランドにより一部異なるが、例えばVWでは最終回の支払時に「新車乗換え」、「車両返却(買取)」、「継続使用(残価支払)」を選ぶことができる。VWでは「ソリューションズ」、フィアットでは「インテリジェントローン」として展開しているほか、輸入車ブランドをはじめ、国産ブランドでも車両購入のトレンドになっている。

◆VW ゴルフ TSIコンフォートライン

まず、実燃費3位の15.0km/リットルを記録した『ゴルフTSIコンフォートライン』はゴルフの中でも中間に位置する売れ筋グレードで、エンジンは1.4リットルターボを搭載。これにデュアルクラッチの「DSG」を組み合わせる。カタログの10・15モード燃費は16.4km/リットルで、今回の3台中で最もカタログ燃費達成率が高く、91%を実現している。走りも、1.4リットルエンジンとは思えないほど軽快だ。

6代目ゴルフは先代から内装の質感を大幅に向上させたのも大きな特徴で、コンフォートラインではさらに、レザーステアリング、フルオートエアコンなど上級装備を標準としている。外観では、コーナリングライト/フォグランプ、16インチアルミホイールなどを装備する。

また、ゆとりあるボディサイズに由来する居住性の高さがゴルフの優位点だろう。前席座面から天井までは1000mm、後席でも950mmを確保し頭上も広い。荷室も後席乗車時で350リットルを確保しており、3台中ではトップ。実用性の高さが光る。

【見積もり金額】
・本体価格:278万0000円
・メンテナンスフリープログラム(5年):0円
・頭金:80万0000円
・月々支払額:1万8300円×58回(初回:2万4070円)
・ボーナス時:5万0000円×10回
・残価額:52万0000円
・金利:1.99%
・諸費用(取得税・重量税含む):23万7570円
・支払合計:314万3040円

ゴルフTSIコンフォートラインはエコカー減税75%が適用となり、諸費用に含まれる取得税が2万9700円、重量税が1万1200円となる。

また、6月末までの期間限定で、ゴルフ各モデルを対象に「ソリューション5年プラン」(5年の残価設定ローン)で成約・登録した場合に適用となる「ソリューションズ5年あんしんパッケージ」キャンペーンを実施しており、これにより5年間のメンテナンス費用最大約16万円(使用により異なる)が無料となる。ランニングコストを抑える事ができるメリットは大きい。

◆フィアット 500(POP 1.2リットル)

実燃費2位の15.9km/リットルを記録した『500』は全車にアイドリングストップ機能「START&STOPシステム」を搭載しているのが特徴。また今回の「POP」は、シリーズ最軽量の990kgということもあり、カタログ燃費は19.2km/リットルを実現、カタログ燃費達成率は83%だ。

POPは最廉価グレードのため、エアコンはマニュアル操作、シートはファブリックとなる。ホイールはスチール&ホイールキャップだ。軽自動車並みのサイズ+2ドアのため居住性は高いとはいえないが、大開口の荷室は通常時でも185リットルを確保している。何よりそのスタイリングが最大の魅力だ。

【見積もり金額】
・本体価格:195万0000円
・メンテナンスフリープログラム(3年):8万2000円
・頭金:80万0000円
・月々支払額:6500円×58回(初回:7642円)
・ボーナス時:5万0000円×10回
・残価額:37万1428円
・金利:4.15%
・諸費用(取得税・重量税含む):26万8810円
・キャンペーン値引き:▲15万0000円
・支払合計:230万6070円

金利は4.15%で高めだが、フィアットでは500を対象に、6月末までの登録に限り15万円を値引きする「エコドライブサポート」キャンペーンを実施している。これにより車両価格が15万0000円オフとなる。

ゴルフの場合と同じ条件にするためにメンテナンスパッケージを加えると8万2000円が加算される。ただし、フィアットのメンテナンスパッケージは最大3年までで延長はなし。その他支払い面でのデメリットとしては、エコカー減税対象車ではないことが響く。諸費用に含まれる取得税は8万3500円、重量税が3万0000円(地域により異なるので注意)。ゴルフと比べると約3倍となってしまう。

◆VW ポロ TSIハイライン

最後は実燃費1位の16.4km/リットルを記録した「ポロTSIハイライン」の見積もりを比べよう。高張力鋼板ボディや6エアバッグ、ESPやTCS(トラクション・コントロール)など高級車並みのクルマづくりを実現しているのがポロの特徴。エンジンは1.2リットルターボで、DSGも搭載。10・15モード燃費は20km/リットル、カタログ燃費達成率は82%だ。

上級グレードのハイラインは、フォグランプ、フルオートエアコン、バックセンサー、レザーステアリング&シフトノブなど上質な装備を標準とする。内装デザインもゴルフと共通の意匠を採用し、1クラス下のクルマとは思えない室内空間を実現した。

コンパクトながら長距離移動を前提としたドイツのクルマらしく、後席でもつま先を前席の下に潜り込ませることができるため楽な着座姿勢を取ることができる。後席頭上スペースもゴルフ比でー20mmと十分だ。荷室は通常時で280リットルを確保。また日本市場の要望を採用し、床面を2段階に調節することが可能で、積載性は見た目以上に高い。

【見積もり金額】
・本体価格:242万0000円
・メンテナンスフリープログラム(5年):14万8000円
・頭金:80万8000円
・月々支払額:1万6200円×58回(初回:1万6770円)
・ボーナス時:5万0000円×10回
・残価額:46万0000円
・金利: 2.78%
・諸費用(取得税・重量税含む):22万8270円
・支払合計:295万2640円

ポロもエコカー減税75%の対象となるため、諸費用に含まれる取得税&重量税で計11万1600円が減税となる点はやはり大きな魅力だ。

◆対決の行方は…?

最後に、年間8000km走行すると仮定した場合の、5年間・4万km分のガソリン代を比較してみた。3台ともハイオク仕様、ガソリン価格は『e燃費』のリアルタイムガソリン価格から6月10日現在の価格を参照、150円で計算した。

・VW ポロ TSIハイライン…36万5850円(2439リットル)
・フィアット 500…37万7250円(2515リットル)
・VW ゴルフ TSIコンフォートライン…39万4800円(2632リットル)

これらを各車の支払合計に加えると、

・VW ポロ TSIハイライン…331万8490円
・フィアット 500…268万3320円
・VW ゴルフ TSIコンフォートライン…353万7840円

ポロとゴルフの差は最終的には21万9350円まで縮まった。今回ゴルフに適用となった1.99%金利の恩恵は決して小さくない。

ここだけの話し、在庫が潤沢なゴルフのほうがポロよりも店頭値引きが期待できそうな雰囲気であったことを報告しておこう。

税金・諸費用の面では、重量税・取得税の75%減税が対象となるポロ、ゴルフがフィアット500に対し優勢。また、維持費に直結するメンテナンス費用については、「ソリューションズ5年あんしんパッケージ」適用により5年間で約16万円のメンテナンス費用が無料となるゴルフのメリットが大きい。他2台についてはそれぞれ有償パッケージプランが丸々上乗せとなっている。これが大きな差となったとみることもできる。

ファミリーカーとして見た場合、価格差が縮まったポロとゴルフの比較では、1クラス上のゴルフはより居住性、質感などを見てもお買い得度が高いと言えるだろう。一方で、絶対的な低燃費と、女性でも扱い易い取り回しの良さで選ぶならポロも魅力だ。フィアット500はその性格上、他2台と競合はしないがイタリア車らしい元気な走りとオシャレなデザインが選択の基準となりそうだ。

輸入車実用燃費トップの3台。数値上では上記のような結果となったが、実際の室内空間、デザイン、そして走りについては、実際にディーラーにて試乗して見極めることをお勧めする。

《宮崎壮人》

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