【インタビュー】スマートフォン時代の差異化要素…NTTドコモ

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NTTドコモ オープンサービス企画室長 伊倉雅治氏 NTTドコモ オープンサービス企画室長 伊倉雅治氏
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 2011年度のスマートフォン販売台数600万台を目標に掲げるNTTドコモ。Androidスマートフォン及びタブレットについて、他キャリアとの差別化をどう進めていくのか。NTTドコモ オープンサービス企画室長 伊倉雅治氏に話を聞いた。

――スマートフォンやタブレットの普及が進んでいますが、ハードウェア面や機能、通信料金など各キャリアごとの差が小さくなっているように見受けられます。NTTドコモでは、他キャリアとの端末・サービスの差別化についてどのように考えていらっしゃいますか?

伊倉氏:Android端末の差別化については、各社悩まれていると思います。iモード時代には、端末の形状も色もメーカーも異なっていました。スマートフォンでもある程度の差別化はできますが、フィーチャーフォンほどの差別化は難しくなります。キャリアとしては、「端末」「サービス」「料金」の3つの要素で差別化をはかることが重要だと思っています。まず端末の差別化については、市場規模が重要になります。仮にスマートフォン市場が100万台規模しかなければ、10社のベンダーがいた場合、1社あたり10万台ということになり事業の継続も難しくなります。より多くの台数を売ることで、参入できるベンダー数や販売する機種数も増えていき、画面の大きさやカラー数などのバリエーションも増やすことができます。市場を拡大することで端末面での一定の差別化は容易になるということです。それにユーザー数が増えれば、コンテンツプロバイダーも動いてくれます。スマートフォンの料金は、各社同じような料金体系にはなっていますが、やはり今後は2台目以上を訴求できるような料金プランや、単にファミリー割引とは異なる料金プランも考えていく必要があります。1台目の端末にはフラットな料金を提供、2台目にはダブル定額を提供するなど、ユーザーの使い方に合うように料金体系も変化させていきます。さらにタブレットを売っていくためには、ユーザーがタブレットをどう利用しているかを見極めたうえで、その利用シーンに合わせた料金プランを考える必要があります。サービスは、クロッシィなどのネットワークがドコモとしての強みです。今年の終わりにはXi対応のスマートフォンが出てきますが、これは端末の差別化にもなります。またドコモのもう一つの強みは、5,600万人ものユーザーがいて、そのうち9割の5千万のユーザーがiモード端末を利用しているということです。その強みを活かすには、iモードのメールアドレスの引き継ぎを可能にすることや、iモードのポータルサイトのようにドコモマーケットでAndroidアプリを整理・販売していく。これによってドコモとしてのオリジナリティを出すことができます。一つ一つの要素で見ると大したことはないけれども、集合体でみると全てにおいて一歩抜きんでているという形で、サービスの差別化をしていきたいと思います。

――スマートフォンのラインアップとしては、国内メーカー製端末と海外メーカー製端末に大きく分かれます。海外端末の販売はどういった価値を提供するためでしょうか?

伊倉氏:我々がiPhoneから得た教訓は、日本市場に特化した機能が搭載されていない機種でも受け入れられるということ。買った時点で多くの機能が搭載されていなくても、アプリをインストールすることで、自身の用途に合わせてカスタマイズできる。このような端末に対して価値を見出す人は一定数いるとの判断から、ドコモではXperiaの提供を開始しました。アプリをたくさんインストールすればPRIMEになり、背面カバーなどをつければSTYLEにもなる。海外端末の選定の際は、グローバルでどれくらい売れているかが注目すべき値になります。ドコモが自分たちでなんでも決めていく方法も良いですが、グローバルで売れている端末に口を出すことが良いのかということもあります。ある程度世界観を持っている端末であれば、共同で魅力を訴求していこうと思っています。ただ海外端末だけで全てのニーズをカバーすることはできません。おサイフケータイやワンセグを求めるユーザーもいるため、それらを搭載した端末も合わせて提供しました。スマートフォンの普及期には、国産端末の良い点を取り入れていかないと、普及を妨げてしまいます。また最新のOSを搭載した端末はきちんと出していきたいという野望はあります。それによって市場を引っ張っていけるということがあります。

――ユーザーがスマートフォンを購入する際の決め手に関しては、どのように認識していますか?

伊倉氏:Xperiaをはじめとする海外端末は世界観がかっこいいなどの理由から指名買いが多いです。一方で国内端末はワンセグやおサイフケータイなどのフィーチャーフォン機能が決め手になっているようです。スマートフォンユーザーが増えたきっかけとしては、iモードのメールアドレス(@docomo.ne.jp)が利用できるspモードの導入が一つと、ワンセグやおサイフケータイなどの機能の搭載です。また、正直REGZA Phone T-01Cは売れないんじゃないかと思いましたが(笑)、しばらく在庫切れが続くほど売れました。防水対応が大きかったのではと思っています。

――タブレットは全く新しい市場ですが、ユーザーにどう訴求していくのでしょうか?

伊倉氏:私が思い描くタブレットの利用シーンは、ちょっとオタクなお父さんと子供が一緒に遊ぶなどの家族の団らんで使われるイメージです。これがもっと発展してお母さんのリテラシーが上がってくると料理のレシピとして使われたりするのかもしれません。タブレット端末は、PCやゲーム機の代わりとして、家族で一台使われていくのかなと思います。タブレットは最初の起動が速いため、ちょっとした検索はタブレットのほうが断然便利です。簡単に自分の目的に向かっていけるデバイスとして誰でも使える端末になるでしょう。私の家でも、子供がタブレットを使ってYouTubeで好きなコンテンツを観るなどして使いこなしています。

――ドコモではAndroidアプリのマーケットである「ドコモマーケット」を独自に運営していますが、有料/無料アプリの割合や、売れ筋のアプリの価格帯の傾向はどのようになりますか?

伊倉氏:日本のケータイユーザーは有料アプリを買うことにある程度慣れていると思っています。ドコモマーケットは当初無料アプリが多い状態でしたが、今のドコモマーケットのアクセスランキングは半分くらい有料アプリが並びます。良いものにはユーザーはお金を払ってくれるというのが分かりました。

――Googleが運営するAndroidマーケットとはどのように差別化を?

伊倉氏:Googleが運営するAndroidマーケットでは、掲載されているアプリが多いうえに整理もされていないので、目的のアプリを探すことが難しい状態です。その中でドコモマーケットでは良いアプリをピックして分かりやすくユーザーへ紹介していきます。GoogleのAndroidマーケットはロングテールのヘッドからテールまでをカバーする形で、様々なユーザーの需要に応えようとしていますが、ドコモマーケットではロングテールのヘッド部分の良いアプリをまず紹介すると共に、端っこのテールにある良いものも抜き出してユーザーに紹介するしかけを行っています。ドコモのスマートフォンは面白いという評判をつくるために、ドコモマーケットへのアクセスをとにかく増やさなくてはいけません。そのためにコンテンツプロバイダーにお願いをして良いコンテンツを高い頻度で出してもらえるよう取り組んでおり、今のところは成功しています。去年全く売れなかった頃から協力していただいているコンテンツプロバイダーの方には足を向けて寝られません。

――PCの世界は基本的に無料コンテンツが多く、コンテンツにお金を払うという感覚があまりありません。PCサイトを利用できるスマートフォンになると、無料のコンテンツと戦っていかなくてはならないのでは?

伊倉氏:おっしゃる通りです。iモードではモバイルコンテンツという特殊な環境でした。スマートフォンではPCサイトと同じようなビジネスをしているサイトやアプリでは、商売はできません。有料にするならばリアルタイムの情報を提供するなり、過去のアーカイブを閲覧できるなどの付加価値をつけていかなくてはなりません。ソーシャルコンテンツが人気ですが、自分だけで遊んでも面白くないけれども、相手と競うからお金を払うというところに成長の余地があると思います。

【インタビュー】NTTドコモが語る、スマートフォン時代の差別化要素

《編集部@RBB TODAY》

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