燃料電池用触媒の出荷量、過去最高に 田中貴金属2010年度

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エネファームの新製品は定格発電効率40%を実現、価格を従来から70万円安い276万1500円とした
エネファームの新製品は定格発電効率40%を実現、価格を従来から70万円安い276万1500円とした 全 1 枚 拡大写真

田中貴金属工業は、2010年度(2010年4月~11年3月)の燃料電池用触媒の出荷量が過去最高を記録したと発表した。

2004年度を基準にした出荷量推移(指数)では、2010年度の総出荷量は、これまで最高だった2006年度の169%を大きく越え、過去最高の198%を記録した。家庭用燃料電池『エネファーム』が普及し始めたことに加え、燃料電池自動車の研究開発が積極的に進められていることが、総出荷量を押し上げた模様。

2010年度の家庭用の出荷量は、エネファームの本格販売が始まった2009年度の234%を大幅に超える323%を記録した。国やガス、石油会社による補助制度のほか、エコブームなどで普及が順調に進み、触媒出荷量も2009年度の約1.4倍の伸びた。

さらに今年4月以降は、節電意識の高まりでさらにエネファームが注目されている。2011年度には小型で安い新型が発売されるなど、引き続き市場の成長が見込まれる。

一方、自動車用は、研究開発用の需要が一旦落ち着いていた2008年度の135%、2009年度が133%だったが、2010年度は162%にまで出荷量が増加した。

自動車メーカーやエネルギー関連会社は現在、燃料電池車の普及開始時期となる2015年に向けて、本格的な市場導入の準備段階として、量産車の開発や水素供給インフラ網の整備に向けて共同での取り組みを開始した。

最近のエネルギー問題や原油高といった経済動向もあって燃料電池車への注目が高まる中、今後も自動車用の触媒需要量の増加傾向が続く見通し。

燃料電池は、コストや耐久性、性能などへの課題もあるものの、有望な次世代エネルギーの利用技術として実用化技術開発や、実証実験、インフラ整備、普及事業が国家レベルで支援されている。燃料電池の燃料改質器に使われる貴金属触媒の需要も見込まれる。

同社では今後も燃料電池の市場要求に対応して生産体制を整備するとともに、コスト削減と資源の有効利用のため、希少な貴金属の使用量を減らす研究、リサイクルの強化を図り、今後の燃料電池の普及に向け新技術や新商品の開発に取り組むとしている。

《レスポンス編集部》

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