大矢アキオの『ヴェローチェ!』…マツダ MX-5バンザイ コンセプト

自動車 ニューモデル モーターショー
マツダMX-5バンザイ・コンセプト(グッドウッド11)
マツダMX-5バンザイ・コンセプト(グッドウッド11) 全 12 枚 拡大写真
 【グッドウッド11】自動車雑誌と共同開発

マツダの英国法人マツダモーターズUKは、2011年7月1〜3日に一般公開されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード会場で『MX-5バンザイ・コンセプト』を展示した。MX-5 バンザイ・コンセプトは、英国の自動車雑誌『バンザイ・マガジン』と共同開発したコンセプトカーだ。

リトラクタブル・ハードトップ仕様をベースに、ビンティージタイプのアロイホイールを装着。オーリンズ・ロード・アンド・トラックのコイルスプリングによって車高を2インチ下げている。

シート後方にはカーボンファイバー素材とアルミによるパネルを配したほか、フロントグリル、ダッシュボード、ヘッドレスト後部に赤のアクセントを用いている。さらに後部にはディフューザーを付加している。

『バンザイ・マガジン』は、主にチューニング系日本車を扱う月刊自動車雑誌。MX-5バンザイ・コンセプト開発にあたって同誌は、08年にマツダがデトロイトモーターショーで発表したコンセプトカー『風籟(ふうらい)』のイメージを求めたという。

実車を見るとレッドメタリックのボディ上に艶消しブラックのフィルムを貼ったものであることが判明したが、ボディ各部には「人馬一体」のデカールが漢字およびアルファベットで貼られていることもわかった。

ただしこのMX-5バンザイ、単なる「目立ちたがり」と思われるのは関係者にとって心外のようだ。『バンザイ・マガジン』としては、「巨大なスポイラーやハイパワー、人目を引く巨大なボンネット・バルジなどがなくても、楽しいチューニングカーが実現可能なことを示したかった」という。マツダモーターズUKは、そうした方針に関し「『バンザイ・マガジン』は、真のプロフェッショナル集団である」と賞賛を送っている。

会場では、幅広い年齢の多くの来場者がMX-5バンザイに向けてシャッターを切っていた。コクピットに座ったある若者は、「なによりも艶消しの黒ボディに、しびれるよ」と興奮気味に感想を語っていた。

ところで筆者が知る限りでは、主要自動車メーカーと著名雑誌のコラボレーションは、1963年にルノーが雑誌『ELLE』との協力で実現した“パリジェンヌ”仕様が最初である。いっぽう外国誌ではあるものの、日本語名の雑誌とのコラボレーション車は、このMX-5バンザイが初の試みであろう。

ちなみに「BANZAI」は、ヨーロッパの人々の間に浸透している日本語のひとつだ。ただし残念ながら「自決する前に発する言葉」と曲解している人も多い。日本の視聴者参加型バトルゲーム番組「風雲!たけし城」が「Mai dire Banzai(万歳と言うな)」というタイトルのもとイタリアで放映されていたのも、その現れだ。
大矢アキオの欧州通信『ヴェローチェ!』
筆者:大矢アキオ(Akio Lorenzo OYA)---コラムニスト。国立音楽大学卒。二玄社『SUPER CG』記者を経て、96年からシエナ在住。イタリアに対するユニークな視点と親しみやすい筆致に、老若男女犬猫問わずファンがいる。NHK『ラジオ深夜便』のレポーターをはじめ、ラジオ・テレビでも活躍中。主な著書に『カンティーナを巡る冒険旅行』、『幸せのイタリア料理!』(以上光人社)、『Hotするイタリア』(二玄社)、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)がある。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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