三菱レイヨンは2日、炭素繊維・複合材料事業の欧州駐在員事務所を8月1日付でドイツ・デュッセルドルフの三菱化学ヨーロッパ社内に開設したことを発表した。
現在欧州の炭素繊維・複合材料市場は、ドイツを中心に急速に拡大。自動車分野では、炭素繊維・複合材料を車体構造材料に全面採用したBMWの電気自動車『i』シリーズが2013年に発売される予定。この電気自動車は、同社とSGLグループの合弁会社が供給するプレカーサーを使用し、SGLグループとBMWグループの合弁会社が製造する炭素繊維を使用する。
再生可能エネルギー分野では、既に炭素繊維・複合材料を使用した大型翼を採用する欧米系風車メーカーは5社以上を数え、この先既存風車の高発電効率翼への交換需要の増大、北海での大型オフショア風車建設に向け、炭素繊維・複合材料を採用する風車メーカーは益々増える見通し。特にいち早く脱原発と再生可能エネルギー導入を決定したドイツでは、環境負荷低減に貢献する材料としての炭素繊維・複合材料の高速加工技術開発を官民で推し進めている。
今回開設するドイツ駐在員事務所では、このような市場動向に対応すべく、幅広い産業用途向けマーケティング、大手自動車メーカーへの新規材料・成形工法の提案、パートナー企業との産業用途での最適中間材料の共同開発を実施。新事務所は当面駐在員一名および契約社員複数名の体制でスタートするが、早期に増員を図り、将来的に販売機能と開発機能を併せ持つ現地法人化を目指すとしている。