【トヨタ カムリ 試乗】期待を越えた上質ハイブリッドセダン…青山尚暉

試乗記 国産車
ハイブリッドらしいきれいなブルーのボディカラー。
ハイブリッドらしいきれいなブルーのボディカラー。 全 20 枚 拡大写真

新型トヨタ『カムリ』の日本国内仕様はハイブリッドのみである。

【画像全20枚】

カムリと言えば、国内ではセダン人気の後退もあってかなり地味な存在だった。が、実は主たる市場は北米。そこでは2002年以来、ミドルセダンのベストセラーカーとして売れに売れている。そう、実態はアメリカ人のためのでかい『カローラ』である。先代の全カムリの北米での販売比率は50%以上、つぎに中国だ。

国内でハイブリッドのみの展開は当然だろう。カムリにスポットライトを当てるには、この時代それしかない。いい判断だ。

世界9か所の工場で造られるカムリのスタイリングは実は地域ごとに違う。国内仕様は中国と同じ、高級指向。北米ではカローラだから(?)モダンで先進的なデザインとなる。ルーフとドアはすべての仕向け地ともに共通だ。

ボディサイズは先代とほぼ同じ。全長で10mm、全幅で5mm大きくなっただけ。しかし室内、それも後席はグーンと広くなった。前席(アクセルペダル)7mm前出し、後席8mm後方配置、前席シートバック裏面のえぐりなどによって、後席膝回り空間は何と46mmも拡大。これは凄いことだ。身長172cmのドライバー基準で膝回りに足がゆったり組める、270mmもの空間がある(『プリウス』で230mm)。トランクもハイブリッドセダン最大級の440リットルの容量が確保されている。

運転席に乗り込むと、プリウスや、ハイブリッドシステムを共用する『SAI』やレクサス『HS250h』に見られるハイブリッド車然とした先進感は薄い。アナログ風メーター回りやセンターコンソール回りは極めてオーソドックスなデザイン。もっとも3連メーターの左右はハイブリッドシステムインジケーター&平均/瞬間燃費計で、普通のガソリン車とは別物だ。

しかし、最大のセーリングポイントは走りである。新開発のアトキンソンサイクル採用の2.5リットルエンジン、SAIなどと同じハイブリッドシステムの組み合わせによるシステム出力は205ps。しかも先代比約100kgもの軽量化を果たしている。

走り出せば、とにかく全体が軽い! アクセルペダルとエンジン&モーターが直結しているかのようにレスポンスよく加速し、たとえエコモードでも素晴らしく速いのだ! 新エンジンの4気筒とは思えないトルキーなスムーズさ、油圧から電動となった、速度によって重さが変わるパワステの操舵フィールも極上。つまり、気持ち良く加速し、気持ち良く曲がってくれる。

乗り心地は、日本人がこの車格に求める重厚感、しっとり感は残念ながら期待できない。最初に書いたように、とにかく軽快で、なおかつ快適感に満ちた日常域重視のフラットな乗り心地、ハイブリッド車らしい静かさが最大の持ち味だ。でも、それがむしろ新鮮で心地良い。

ちなみに『エスティマ』にあり、東日本大震災以降、注目されたAC100Vコンセントの装備はない。「3月11日以降に開発していれば、そうした装備も考慮したのですが、セダンであること、コストを含めて今回は見送りました」と開発スタッフ。でも、付けられないわけじゃないそうだ。

新型カムリはハイブリッドのみという戦略以上に、完成度の高さが際立つ、期待以上、どころじゃない抜群の出来だった。とにかく走って気持ちいい! プリウスのような超燃費は期待できるはずもないが、それでもJC08モード燃費23.4km/リットルはクラス最上。まぁ、大型犬を飼っている身としては、これのワゴンがあればもう最高なんだけど……。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイトも手がける。ドッグライフジャーナリストの肩書も持つ。

《青山尚暉》

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