日産自動車が13日に発表したFWD(前輪駆動)用新型変速機「新世代エクストロニックCVT」。北米仕様『アルティマ』3.5リットルV6のCVTをチェーンドライブ方式の2.5~3.5リットル用エクストロニックCVTに換装したテスト車両に試乗した。
走り出してまず驚くのはCVTにありがちな“シュイーン”という金属音がほとんど聞き取れないこと。フリクションロスを4割減らしたという謳い文句も納得という感じであった。
次に印象的だったのは、変速制御の巧みさ。CVTといえば、加速時にエンジン回転数が思いっきり上がり、車速が後からついてくるというイメージが強い。最近はそれが不自然なドライブフィールだということで、ある程度車速に合わせて回転数を上げるチューニングが施されたモデルが増えてきているが、新世代エクストロニックCVTの加速フィールは、有段ATの中間ギアで加速しているのと区別がつかないくらいにリニアに仕立てられていた。
変速比幅6.3:1というワイドレンジ化の威力はクルーズ時に体感できる。80km/h巡航時のエンジン回転数はわずか1200rpm。100km/h巡航時に換算すると1500rpmだ。スロットル全開時の加速力を犠牲にせずにクルーズ燃費を上げられるのは、新モデルの大きなメリットのひとつと言える。
「この新世代エクストロニックCVTは燃費性能も自慢のひとつ。北米アルティマのEPA燃費(アメリカにおける公称燃費値)はライバルであるヒュンダイの新型『ソナタ』に上回られましたが、現行エンジンのまま変速機を新世代エクストロニックCVTに換装するだけで逆転できる見通しです」(開発担当エンジニア)
トランスミッションの性能はクルマの燃費や動力性能を一般的なイメージ以上に大きく左右する。すでに高い熟成度を示しているだけに、日本市場向けモデルへの早期展開が望まれるところだ。