【GARMIN nuvi 3770Vインプレ 前編】準天頂衛星 みちびき 対応の効果はいかに?

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最新のGPSエンジンの恩恵は位置精度よりもGPS信号をロストしない粘り強さとして実感できる。ちなみにこの画面は地図画面左上の棒グラフをタップすると表示される。
最新のGPSエンジンの恩恵は位置精度よりもGPS信号をロストしない粘り強さとして実感できる。ちなみにこの画面は地図画面左上の棒グラフをタップすると表示される。 全 6 枚 拡大写真

見やすいディスプレイ、従来機に輪をかけてよく“粘る”GPS

ここからは実際に使用しながら各機能を紹介していこう。使ってみて改めて実感したのが、本体のスリムさだ。PNDが小さいといっても普通のモデルは意外とかさばるもので、持ち運びにはそれなりに気を遣う。しかし、本機の薄さは想像以上に持ち運びやすい。

小さなセカンドバッグに入れてもカバンが丸く膨らんでしまうことがないし、推奨されることではないだろうが、ジーンズの尻ポケットに入れても全く無理なく収まる。外出先で車を離れるときも無理なく持ち歩けるから、ついつい車内に置き去りということがなく、盗難対策の面でもメリットは大きい。この薄さは決してデザイン偏重に走ったものではなく、実利的なスペックの一つだと感じた。

もうひとつ、使ってみて実感したのは、ディスプレイの見やすさ。ライバルのPNDや最新のスマートフォンと比べても非常に明るく、コントラストの高いカッチリした画質だ。PNDを設置するときは太陽光の影響を避けるため、画面を垂直かやや下向きにするものだが、本機ではその必要がない。ドライバーから一番見やすいように上向きにしても、外光に負けない明るさなのだ。余談だが、タイトル写真の撮影でも通常なら外光とディスプレイの明るさのバランスを取るのに苦労するのだが、本機ではあっけないほど簡単に撮影できた。外光とディスプレイの明るさの差が少ないためだ。

続いて、最新のGPSエンジンをチェック。日本の人工衛星「みちびき」の補正信号を受信できるというから注目度は高い。みちびきはGPSの日本版を目指して開発されている準天頂衛星システムの1号機で、準天頂衛星の配備が進めば、GPSの測位精度は1メートル以下、数センチレベルにまで向上するという。

ただし、現在はまだ準天頂衛星はみちびき1機しかないし、その運用も実験的なものだ。そのため効果は限定的となる。それでも、本機のGPSエンジンは従来機種よりもかなり性能が向上しているように感じられた。

もともとしぶとく測位し続けることを身上とするのがGARMINのGPSレシーバーの特徴だが、本機は従来モデルに輪をかけて、厳しいシチュエーションでもGPS信号をロストしないのだ。高速道路の高架下や半地下式道路など、ほとんど空が見えない状況でも実用的な精度を保って測位を続けてくれた。

どこまでがみちびきの効果で、どこまでがGPSエンジン全体の改良の効果なのかは判断できないが、性能が向上していることは確かだ。それでもトンネル内など完全に上空が遮られている状況では測位不能となるが、GPS以外の測位手段を持たないnuviシリーズではやむを得ないところだ。ただし、これまで通りトンネルに入る直前の速度を維持したまま走り続ける機能があるので、空いている道路を走っている場合は大きな問題にはならない。

◆FM-VICSで渋滞情報を取得、徒歩ナビとしても良好な使い心地

安価なPNDでも次第に搭載モデルが増えているVICSだが、海外メーカーであるGARMINもユーザーの要望に答え、この日本独自の渋滞情報に対応した。FM-VICSなので渋滞を避けるルート検索はできないが、十分といえるだろう。

実際に使っている人ならわかると思うが、渋滞情報を地図上に表示してくれる機能はぜひとも欲しいもの。その一方で、自動的に渋滞を避けるルート検索はあまり役に立たないことが多い。渋滞を回避するべきかどうかは、微妙な状況、つまり、完全に止まっている渋滞か、ゆっくり流れているのか、迂回路も混んでいる可能性はないか、といったことを総合的に判断しなければならないため、プログラムに判断させるのは難しいのだ。

ちなみに、FM-VICSで渋滞回避ルート検索ができないのは上記のような技術的な問題ではなく、そういうルールがあるため。また、渋滞以外の状況、たとえば事故や工事による通行止めはFM-VICSでもルート検索に反映される。この通行止め回避機能ともいうべき回避機能は、忘れた頃に役立ってくれたりして、非常に有用なものだ。

もう一つ、地味だが注目の機能が電子コンパスだ。これは徒歩ナビとして使う上では必須。車載の状態では移動方向で方角を割り出せるが、本体の向きが一定しない徒歩ナビでは電子コンパスがないと方角を検出できないためだ。

ところで、普通のPNDだと徒歩ナビはおまけ機能といった印象がある。これは機能的な問題ではなく、5〜7インチディスプレイで厚みもあるPNDを徒歩ナビとして持ち歩くのはどうも気恥ずかしくて使う気にならないためだ。機種によっては、かさばるので徒歩で持ち歩きたくないということもある。

しかし、本機を徒歩ナビで使ってみたところ、非常に快適だった。はた目にはスマートフォンを操作しているようにしか見えないので恥ずかしくないし、非常に薄く、軽いので持ち歩くことに抵抗がない。さらに縦位置対応であることも重要で、このおかげで片手で無理なく持てる。電子コンパスを搭載するPNDはほかにもたくさんあるが、徒歩ナビとしてもっとも使いやすいのは間違いなく本機だろう。

《山田正昭》

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