ホンダは、2001〜02年に製造された一部の車両に搭載されている「運転席用SRSエアバッグ」の不具合に関する市場措置を行うことを発表した。
運転席用SRSエアバッグに装着されたインフレーター(膨張装置)内のガス発生剤に不適切なものがあるため、事故などによりエアバッグが展開した場合、インフレーター内圧の急激な上昇で容器が破損して構成部品が飛散する可能性がある。北米や日本などでリコールの届け出を行ったほか、その他の国と地域でも対象モデルで同様の措置を行う。今回の追加対象台数は、全世界で完成車30万4035台、補用部品912点が対象となる。
同社では、07年2月以降に米国市場で発生した不具合事象に基づき調査を行った結果、原因はインフレーター内のガス発生剤の過度な吸湿であると判断。08年11月11日にアメリカ、カナダ、メキシコでリコールを届け出た。この時の対象台数は4205台。
その後、新たに最初の措置対象範囲外からも不具合事象が発生したことから、改めて解析。今後の同事象の発生を防ぐために対象範囲を拡大し、09年6月30日にアメリカやカナダなどで2回目のリコールを実施。日本では7月29日に初めてリコールを届け出た。台数は合計で51万0150台。
さらに、日本でSRSエアバッグの修理履歴がある車両に不具合SRSエアバッグが含まれることが判明したため、09年10月19日に国内のみで補用部品として53点を届け出たが、調査を継続した結果、ガス発生剤を製造する際のプレス加圧力が不足した場合に不具合が発生する可能性があることが分かり、特定のガス発生剤成型設備に加圧力管理が不十分であったことが原因と判明した。
この結果を受けて、10年2月9日に米国やカナダで、2月10日には日本などでこの成型設備で生産したガス発生剤を使用した車両を対象に合計43万7763台のリコールを届け出た。また、国内のみで補用部品として、21点についても届け出た。
この際に補修用部品として供給された不具合SRSエアバッグの中に所在が特定できないものがあることが判明したことから、2011年4月27日に米国、カナダなどで対象点数5275点を届け出た。この時点で交換される可能性のある対象台数は89万6338台。
そして今回、対象範囲外からも不具合事象が発生したことから調査を開始した結果、取引先でインフレーターに組み入れるガス発生剤のロット管理方法に不備があり、前回の対象範囲外としたエアバッグにもガス発生剤が混入していることが判明したことから、2011年12月1日にアメリカ、カナダ、2日に日本、オーストラリアなどで届け出たとしている。
最初の不具合が発覚してから、3年間、5回目の追加リコールとなったが、同社では「今回の措置は、不具合のあったエアバッグ内の部品(ガス発生剤)を成型した設備で生産された部品全てに対象を広げており、それにより今後は、これまでの原因による同様の不具合事象は発生しないと認識している」としている。