高速道路のあり方…「ETCは標準装備にすべき」有識者委員会

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高速道路の料金体系について、高速道路のあり方検討有識者委員会がまとめた報告書『今後の高速道路のあり方 中間とりまとめ』は、ETCなどのITC(情報通信技術)を積極的に導入することを求めている。

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例えば、料金制度・施策を巡る課題という項目にあるのは「大都市部を中心とした有料道路利用のETC車への限定」だ。これまでも交通状況により料金を変動させて渋滞の緩和を図るロードプライシングをETCの可能性として掲げる例はあったが、今回の有識者委員会の報告書では「大都市部などを中心に有料道路利用をETC車に限定することについて検討が必要である」と、現状をさらに進めた提言を行っている。

座長の寺島実郎日本総合研究所理事長は、私見であると前提を置きながら、この内容を解説する。

「運転するのであれば事故を想定して強制保険に入っていなければならないように、車社会に参画するためには、やはりETCという技術を負荷したクルマで、よりコストを安く、いわゆる道路社会を維持していくという方向に向かっていくべきだと、僕は思っている」

寺島氏は「言葉が走ると強制的に義務づけるようになって、それ自体が一人歩きするとまずいなと思う」としながらも「世界の流れを見るとICTの活用で、よりコストを下げて道路管理する上で必要だ」と、訴える。

また、委員の家田仁東大大学院教授も「時間の問題で、ETCは標準装備となるべきだろうし、特に緻密な料金設定によって交通量を上手にコントロールするという科学的でリーズナブルな料金体系を考えると、必要だし、今なら不可能ではない」と、期待を込めた。

政権交代後、歴代の国土交通大臣はETCの活用について、原則無料化を掲げる余り、その活用について明確な言及を避けてきた。自民党政権時のようなETC普及促進対策は消えたが、都市高速の対距離料金制のようにETC利用を前提とした料金体系が着実に推進されている。

寺島氏は言う。「例えば、ETCをつけないクルマが割を食って、より高いコストを負担せざるを得ないということになるのも、そういう流れの中ではある意味でやむを得ないのかなと。自動車社会をより効率的に、きめ細かく管理していくためには、ICT要素を取り込まざるを得ないというのが、議論の中でも強く出てきた」

前田武志国土交通相は、ETCの義務化について「ETCが、かなり一般化はしてきていると思うのですが、その辺の熟度だとか、有識者のあり方委員会等の意見なども踏まえて、これからの一つの課題だと思います」(11月11日会見)と、話した。

ETC全国サービス開始から10年。ETCは取り付けると得をする料金割引のツールから標準装備へと変貌しつつある。報告書は、その現状を肯定し、ETC活用について、民主党政権で始めて言及したものとなった。

《中島みなみ》

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