【スバル インプレッサ G4 試乗】上質感と実用性、環境性能を飛躍的に高めた…青山尚暉

試乗記 国産車
スバル インプレッサ G4
スバル インプレッサ G4 全 25 枚 拡大写真

4代目『インプレッサ』がいよいよ国内で発売された。

新型は先代と違い、4ドアセダンと5ドアHBを同時開発。セダンはアネシス改め、『G4』。ハッチバックは『SPORT』と呼ばれる。そしてエンジンは新開発の1.6リットルと2リットル+CVT(一部5MT)のみ。環境性能重視ということもあってターボの設定はもはやない。そして1.6リットル車の最高燃費はついに20.0キロリットル(10・15モード)と大台へ。全車に車両安定装置のVDCを奢り、アイドリングストップ、アイサイト装着車を設定するなど、安全、環境への配慮にもぬかりはない。

今回は、開発責任者いわく新型では「基本」となったセダンの復権を狙うG4をリポートする。

まず、ボディサイズは先代とほぼ同じ。しかしAピラーの前出し、トランクの強い存在感、クーペを思わせるCピラーによって新型らしさと上級感ある佇まいを演出。もはや『レガシィB4』に迫るクラス感がある。

注目したいのはG4専用のリヤドア形状だ。リヤクォーターガラスをドア側に設置することで開口間口は飛躍的に拡大。具体的には実測で高さ980mm、幅890mm。5ドアHBの同989mm、850mmとくらべ、幅方向の広さが際立つ。そのおかげで世界のセダンの中で最上級の乗降性の良さがある。ぜひ、ショールームでもG4の後席へアクセスしてほしい。その広大な間口に驚きを隠せないはずだ。

インテリアも上級感、上質感が増した。このクラスではあまり例のないソフトパッドを採用し、カラー液晶のマルチインフォメーションディスプレイまでもを完備。エアコンの調整ダイヤルのリング部分が夜光ったり、ハザードスイッチの色をダークがかった赤にしたりと、かなり凝っている。

パッケージも進化。ボディサイズを変えずに、室内寸法は長さ+20mm、幅+15mm拡大。シートの掛け心地も分厚いクッション感と心地良いホールド感を両立。評価の高いスバル車のシートの中でも最上級の掛け心地が保証される。後席のゆとりは身長172cmの私のドラポジ基準で膝回りに205mmと十分すぎるほど広く、頭上方向は105mm(HBモデルはルーフラインが違い115mm)とクラスの標準値以上。トランク容量は先代の420リットルから460リットルへと拡大。9インチのゴルフバッグが4セット積めるようになった。

試乗したのは1.6リットルモデル。走り出せばパワステはけっこうズシリと重い。高速道路を延々と走るシーン、レーンチェンジなどでは安心感として歓迎できても、日常域、山道などではその重さが細腕女性には負担になるかも。EPSなのだから、低速域ではもっと軽いほうがユーザーフレンドリーだと思える。

新1.6リットルエンジンは必用十分な動力性能を備える。2500回転付近からトルクがグッと盛り上がり、スムーズに回転を上げていく。ただ、フラット4ならではの洗濯機が回っているようなパタパタしたノイズは、往年のスバルファン、水平対向エンジンファン以外の人だと気になるはず。「がんばったが消しきれなかった」とのことだ。あえてフラット4感を残したわけではない。

とはいえ重目のパワステはほんの少しステアしただけでレーンチェンジをほぼ水平感覚でスッとこなす安心感、リニアさがあり、またフットワークは感動できるほどの低重心。かつての『レガシィ』を彷彿させる地に足のついた操縦感覚、安定感をいかんなく披露してくれる。何しろ重心高は「500mmを切るとスポーツカー」と言われる中でG4は504mmと異例な低さである。

乗り心地は文句なく素晴らしい。まずは標準の15インチタイヤ装着車に乗ったが、先代の硬めでシャキッとしたタッチから一転、上質感、快適感溢れる滑らかなテイストに進化。段差越えなどでのショック、音、振動の吸収も秀逸だ。もっとも、しっかり感ある乗り味と快適感のハイバランスでは16インチタイヤがベストだろう。

ちなみに2リットルモデルとの動力性能差だが、アクセルレスポンスを意図的に穏やかにしてあるため(VWゴルフのアクセル感覚だ)、低速域ではそう大きな差は感じにくい。「おお、さすが2リットルだな」と意識させられるのはエンジンを中高回転まで回したときに限られる。

唯一、気になったのは、セダンにして後席が6:4分割で倒れ、巨大なトランクスルー空間、最大奥行き1860mmものスペースが稼ぎ出せるのだが、その際、後席中央席用の3点式シートベルトが6:4の6側でブラブラと残ってしまう点。中央席の掛け心地にも配慮した6:4分割で3点シートベルト装備だと、致し方ないとのことだが。まぁ、セダンで後席を格納し、荷室をスペースアップする機会などめったにないと考えれば許せる範囲だろう。

尚、愛犬を乗せる場合は後席に限られるが、純正OPとして後席足元の段差をなくすハンモック状のパートナーズカバーが用意されている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組も手がける。

《青山尚暉》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  3. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る