【東京オートサロン12】セラ がEVレーサーに変身、F1技術も搭載

自動車 ニューモデル モーターショー
EVレーシングカー『TES-ERA EV』。ガルウィングドアはノーマルのセラのものを丸ごと使っている(東京オートサロン12)
EVレーシングカー『TES-ERA EV』。ガルウィングドアはノーマルのセラのものを丸ごと使っている(東京オートサロン12) 全 5 枚 拡大写真

東京オートサロン12、トヨタブースに展示されている青色のガルウィングクーペ『TES-ERA(テセラ)EV』は、トヨタグループのサークルであるトヨタ技術会が製作したEVレースカーだ。

【画像全5枚】

これまでも技術披露会やモータースポーツイベントで数回お披露目されているが、広くパブリックに公開されるのは今回のオートサロンが初めてだという。

バブル期のクルマを覚えている人なら、特徴的なドアの開き方やガラスの切欠きを見てピーンと来ることだろう。ベースモデルはコンパクトスペシャリティの『セラ』だ。

が、セラのボディが使われているのはキャビン周りのみ。モノコックボディの前後部分をブッタ切り、鋼管を溶接したパイプフレームを新造するという、往年の『ランチア・ラリー』などグループBレースカーさながらの手法で作られている。サスペンションは前後とも『スープラ』のダブルウィッシュボーン式のもの。駆動方式もRWD(後輪駆動)だ。

電気部分のマネジメントもすごい。メインバッテリーは容量15.7kWhのリチウムイオン電池だが、ほかに減速エネルギー回収用のキャパシタを使った、F1ではKERSと呼ばれる回生ブレーキシステムも搭載するというハイブリッド電源方式だ。主機となるモーターは『レクサスRX450h』のメインモーターで、最高出力は123kW(167馬力)だ。

「EVレーシングカー作りは車体づくりから制御まで、いろいろな面で勉強になりました。電動部分の制御、ドライバーとマシンのインターフェース、ボディ。私はシャーシ担当だったのですが、量産車の設計では鋼管フレームを作ることなどめったにないこともあって、構造設計などいろいろと考えさせられました」(シャーシ設計を担当したトヨタ技術会メンバー)

インターフェイスもとても面白い。インストゥルメンタルパネルは3つの液晶。ステアリングコラムに付けられたタッチパネルで知りたい車両情報を選び、センターコンソール上部の液晶に向かって指を滑らせることで、簡単に表示をチェンジできる。またミラー類を廃止し、CMOSカメラで死角や後方をリアルタイム撮影し、ダッシュボード上の第3の液晶パネルに表示する。コクピットからの風景もまさに未来系というEVだった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. “変な”ジャパンモビリティショー2025、失望と希望…海外報道
  2. 初代『セリカ』が創刊号、全長20cmの1/18スケール国産名車コレクション…アシェットが2026年1月発売
  3. VW『ゴルフ』復権へ、Mk. 9は完全電動化! ところがエンジン搭載バージョンも?
  4. 「デザイナー天才」とSNSで話題! 熱帯雨林モチーフのポルシェ“オセロット”発表「内装の作り込みがすごい」
  5. 日産『ノートオーラ』など5車種783台をリコール…土曜ニュースランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る