【アルファロメオ ジュリエッタ 試乗】こんなに日本向きのアルファはない…森口将之

試乗記 輸入車
アルファロメオ・ジュリエッタ
アルファロメオ・ジュリエッタ 全 9 枚 拡大写真

昔所有していた『ジュリア』クーペの『2000GTV』や、今でもたまに取材で乗る旧き佳きアルファロメオに比べて、新型『ジュリエッタ』が薄味になったのは否めない。でも無味乾燥では断じてない。日本車やドイツ車から乗り換えると「やっぱりアルファだよなあ」と思わせてくれる。

多くの人が口にするこの「アルファらしさ」。日独のライバルのように、数字や言葉で簡単に表現できるものではない。そんな薄っぺらいものではない。そうした人々は自動車を、人体の延長と考えているようなところがある。速く、カッコよく、色っぽくという自分たちの欲望を具現化した存在と思っているんじゃないかという気がする。

目鼻立ちがくっきりした顔から始まって、前後のフェンダーは豊かにふくらみつつ、リアエンドはきゅっと絞り込む。インテリアも、幅いっぱいに広がったパネルでクラシカルな雰囲気を漂わせつつ、目の前では2つのメーターがきっと見開いてドライバーを挑発する。このクラスの5ドア5シーターで、こんなに情感あふれるデザインがほかにあるだろうか。

1.4リットルターボのマルチエアはアバルトにも積まれるけれど、チューニングは別物。限りなく自然吸気に近い。回転を上げるにつれて、吹けも音も良くなっていく。「もっと踏んで! 回して!」と挑発されている感じ。ノーズの動きは軽快なれど、その後は前後の外輪がバランスよく沈み、コーナーを抜けていくハンドリングともども、アルファそのものだ。

楽しいのひとことでは片付けられない、血の通った、対話ができる走り。それを新型ジュリエッタは、手頃なサイズの5ドア5シーター、右ハンドルの2ペダルというスペックで投入してきた。こんなに日本向きのアルファはない。一部のマニアは薄味化を嘆くかもしれないが、それとは比較にならないほど多くのユーザーが、こういうアルファを待っていた! と思っているはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。

《森口将之》

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