低血糖による意識朦朧状態でのひき逃げ、無罪の判断

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2009年9月、神奈川県横浜市中区内で軽乗用車を運転中、低血糖による意識障害を起こし、死亡ひき逃げ事件を起こしたとして、道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた46歳の男性に対する判決公判が21日、横浜地裁で開かれた。裁判所は無罪としている。

問題の事故は2009年9月1日夜に発生している。横浜市中区山下町付近の市道を走行していた軽乗用車が、路上駐車していたクルマを回避した際、対向してきた17歳の男子高校生が乗る自転車と正面衝突。軽乗用車は止まらずに逃走した。

男子高校生は頭部を強打し、事故から19日後に死亡。逃走した軽乗用車は事故から約20分後にパトロール中の警官が発見。運転していた男性は意識が朦朧とした状態で、フロントガラスが破損していたことから人身事故が疑われたが、職務質問に対しては「後ろに何かぶつかった?」などと話し、会話として成立しなかった。

後にこの男性は「1型」の糖尿病を患っていることが判明。事故の直前にインスリンを投与していたが、事故当時は自覚できない低血糖状態で、意識が朦朧としていた可能性が高くなった。検察は自動車運転過失致死罪での起訴を断念。救護義務違反(ひき逃げ)に絞って起訴していた。

21日に行われた判決公判で、横浜地裁の久我泰博裁判長は事故直後、後続車がクラクションで合図しても止まらなかったことに触れ、「事故当時、被告は血糖値のコントロールが良好だったとは言えず、意識朦朧状態で周囲の状況を正しく理解できていなかった」と認定した。

その上で裁判長は「ガラスが破損したことが認識できていたとしても、事故を警察に届け出ることや、負傷者救護などについて思いが至らなかった疑いがある」として、救護義務違反の適用は難しいと判断。被告に無罪を言い渡した。

《石田真一》

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