国土交通省は6日、高速道路の有効活用を促進するための整備推進策を公表した。施策の柱は次の3つだ。
●大都市の渋滞対策
●開通区間の渋滞対策
●スマートICの追加
大都市の渋滞対策では、名古屋環状2号線(名2環)の西側区間建設再開など凍結していた案件を解除し、三大都市圏の環状道路の整備を進める一方で、大都市圏を結ぶ新東名(海老名南~豊田東)、新名神(四日市~亀山西・大津~神戸)の整備も推進する。
目新しいところでは、中央道の小仏トンネル付近や東名の大和トンネル付近を手始めに、恒常的な渋滞が続く大都市周辺のボトルネック箇所の本格的な調査を始め、その解消策を検討する。
このボトルネック箇所の具体策を問われた吉田おさむ国交副大臣は、大坂府と京都府の境にある天王山トンネルを例に「2本を3本に増やして、交通渋滞の解消に資しているが、こういうことも含めて考えていきたい」と、新たなトンネル建設の可能性も示唆した。
また、開通区間の渋滞対策として、暫定2車線で運用されている区間のうち、全国6区間(総延長179km)で4車線化に着手する。拡幅のための用地は取得済みのため「通常は10年ほどかかるが、それより早く開通させることができる」(吉田氏)とした。
4車線化する区間は以下のとおり。
●関越道(信濃町IC~上越JCT)/長野県、新潟県(38km)
●東関東道(木更津南JCT~富津竹岡IC)/千葉県(21km)
●東海北陸道(白鳥IC~飛騨清美IC)/富山県、岐阜県(41km)
●湯浅御坊道路(有田IC~御坊IC)/和歌山県(19km)
●四国横断道(鳴門IC~高松市境)/徳島県、香川県(52km)
●九州横断道(長崎芒塚IC~長崎多良見IC)/長崎県(8km)
九州横断道を除く5区間は渋滞解消のため。九州横断道では事故が多発していることを考慮した。
前田武志国交相は、この路線の選定について、次のように述べた。
「豪雪のあるところでは、2車線のままでは(雪で)ふさがれて、冬が交通が確保されないということが、今回も起きている。また、災害の教訓もふまえて、通しておかなければならないところを通すということを重点的に、選択と集中でやっている」
大都市渋滞対策と4車線化は、高速道路利用者の利用料を建設事業費に充てることを基本とする。建設事業費は、高速道路会社の建設コストの低減や借入金の金利低減などで圧縮を図る。
また、全国17か所に新たにスマートICを設置する。スマートICの設置には、IC周辺整備も含めて1箇所で数億円から10億円以上の費用が必要となる。スマートICの設置費用は、高速道路無料化にも使われた利便増進事業の財源を充て、周辺整備はスマートIC設置周辺の自治体が負担する。
設置を予定する13県17か所のスマートICの中には、4月14日に開通する新東名の遠州森町PAも含まれている。早ければ一両年、長くても5年で完成させる。
●関越道(寄居PA、上里SA)
●中央道(笛吹/一宮御坂IC~藤岡JCT間)
●東名(愛鷹PA)
●新東名(遠州森町PA)
●北陸道(新潟東/新潟空港IC~新潟亀田IC間、長岡北/中之島見附IC~長岡JCT間、小谷城/木之本IC~長浜IC間)
●近畿道(鈴鹿PA、宝塚北PA、敦賀南/美浜IC~敦賀JCT間)
●四国横断道(松茂PA)
●九州縦貫道(城南/御船IC~松橋IC間)
●九州横断道(木場/諫早IC~大村IC間、小城PA)
●東九州道(行橋PA、上毛PA)
※名称の後ろに区間が記されている場所は、SA・PA以外の本線に直結しているのスマートIC。