【トヨタ 86 試乗】ロングドライブ燃費性能は ヴィッツ に劣らない…井元康一郎

試乗記 国産車
トヨタ 86 GTリミテッド
トヨタ 86 GTリミテッド 全 6 枚 拡大写真

トヨタ自動車と富士重工業が共同開発した新型スポーツクーペ、トヨタ『86』(4月6日発売)/スバル『BRZ』(3月28日発売)。スポーツモデルとしての資質チェックを主眼にメディア試乗会に参加したが、思わぬ美点として印象に残ったのは、望外とも言える燃費の良さだった。

リッター100馬力をクリアする新開発「FA20」型2リットル水平対向4気筒は、カタログスペックではJC08モード燃費12.8kmと、それほど傑出したものではないように感じられるが、実走行での燃費はその数値から受けるイメージをはるかに凌駕している。

1時間という短い試乗時間だったため、正確な燃費は測っていないが、瞬間燃費計の示す数値を頭の中でざっと積分したイメージでは、高速巡航時の燃費は100km/h時でリッター20km弱、80km/h巡航時はリッター22~23km程度であった。

途中、西湘バイパスでは照明灯清掃にともなう渋滞があったが、その区間でも少し走り出せば必要以上にガソリンを消費することはなかった。20~30kmといった低速でも、動いていさえすれば燃費はリッター10km台後半から20km台前半に落ち着く。極低回転でも燃焼が安定しているのか、タウンスピードでも6速で安定して走れることも、エコランのしやすさに拍車をかけている。

有料道路流入路や料金所通過時など、可能な場所で幾度となく全開加速を試み、急勾配続きの箱根ターンパイクでもさまざまな走行パターンを繰り返すなど、燃費には決して優しいとは言えない試乗であったにもかかわらず、異様なほどのクルーズ燃費の良さが奏功して、試乗を終えた時点でのオンボードコンピュータ上の平均燃費はリッター14.2kmに達していた。

エンジンのパフォーマンスをフルに引き出すには98RON以上のプレミアムガソリンを入れる必要があるが、総合的なエネルギー効率はマツダが先に発表した新世代エンジン「SKYACTIV」の2リットルガソリンに引けを取らないように思われた。

ガソリン価格高騰も手伝って世はエコカーブームだが、86/BRZの省燃費性能は、ことロングドライブではトヨタ『ヴィッツ』やホンダ『フィット』といったコンパクトカーやハイブリッドカーと比べても大して変わらないレベル。スポーツカーとして世界第一級の“エコカー”の資質を持っていると言っていいだろう。

井元康一郎
鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  2. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
  3. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
  4. ホンダ『CB1000F SE コンセプト』を世界初披露! カウルが付いてネオレトロ感アップ、MSショーからの変更点もチェック!
  5. 自動車購入の落とし穴! 公取協・公取委の警告から学ぶ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る