人体が通信ネットワークになる…エリクソン10Mbps達成

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MWC2012で披露されたデモ
MWC2012で披露されたデモ 全 3 枚 拡大写真

 エリクソンは20日(現地時間)、スウェーデン ストックホルムにて、人体でネットワークに接続するソリューションの発表をおこなった。スマートフォンを使ったデモでは、人体を伝送路に使って6~10Mbpsの通信速度を達成するというコンセプトを初めて実証したという。

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 同社は、人間の体は通信ネットワークの一部になることができ、片手に携帯電話、もう一方の手でデバイスに触ると、即座に高速で情報を送受信できる。これは将来有望な技術で、「触る」という動作は、インターネットその他のデジタル・サービスにアクセスする簡単で賢明な方法となるだろう、としている。すでに、スマートフォンからの音楽のストリーミング伝送、携帯電話で撮った写真の送信、デバイス上のWebリンクの選択、パスコード送信によるドアの解錠を含む多数のユース・ケースが開発されている。

■動作の原理

 デモで使ったスマートフォンには、容量性データ伝送を実現する特別なデジタル回路が実装されており、回路は信号を人体に配信するプレートに接続される。他方の受信機には、人体を通過した微弱信号を識別する同様の回路とプレートが配置され、情報は、送信機の電極で電圧を変調し、受信機の電極で電位の変化を検出することで送信される。電位の変化に並行して小量の電流が人体を流れる。

 ここでは物理的には容量性カップリングと呼ばれる現象が利用されている。重要なのは、容量性カップリングで人体のような有機的な素材を介して情報を送信できることだそうで、容量性カップリングと通常のデジタル通信を組み合わせることで、単独の技術では達成が困難または不可能な新たなイノベーションとインタラクションを実現できるとしている。

■危険性は?

 同社によると、使用する電力レベルは低く危険性はないとのこと。ラボ・キットを測定した結果、スマートフォンなどのような商用デバイス用の要件を十分満たすことがわかっており、キットはICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)が策定し、WHO(世界保健機関)が公認した標準に準拠しているという。

 この技術のメリットは、使い方が非常に簡単なソリューションを開発できることだそう。たとえば、車やホテルの部屋の鍵を掛けるときに自分の体を電子回路として利用したり、手で触るだけで店の支払いをしたり、また、イヤホンを装着するだけで対応したスマホの音楽を再生したり、といったことが実現する可能性を秘めているとのこと。

 エリクソンでは、この技術はBluetoothやNFCを代替するものではなく、ユーザーにとって親しみやすい新しい通信手段を既存のソリューションに加えるものだとしている。また、商品化については未定だが、数年内に実用化される見込みであるとのことだ。

人体を通信ネットワークの一部に……エリクソン最大10Mbpsの通信速度を達成

《白石 雄太@RBB TODAY》

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