【ホンダ オデッセイ×PS3】ミニバンユーザーがもう一度夢を見る…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ オデッセイで南房総をドライブ
ホンダ オデッセイで南房総をドライブ 全 30 枚 拡大写真

かつてスポーティなクルマに乗り、しかし今では家族構成やペットを飼っているなどの生活環境の変化でミニバンを愛車としている人も少なくないはずだ。ミニバンに求められる走りの要件とは、背高で重心の高いクルマゆえに安心・安全・快適・扱いやすさが最優先される。

ところで最近、高速道路のSAや行楽地でペット連れを多く見かけるようになってきた。犬は家族の一員。どこへ行くにも一緒、というわけだ。犬を乗せたドライブでは乗り心地はもちろん、静粛性の高さも重要項目。何しろ犬は人間が聞こえない周波数の音も聞こえるほど聴覚に優れ、騒音がストレスになるからだ。

欲張りなミニバンユーザーへ

実は、家族の一員として大型犬のラブラドールレトリーバーのマリアと暮らし、月に1〜2回は愛犬をミニバンに乗せプライベート&仕事で長距離ドライブしているわが家最大の悩みが、そろそろ交換時期を迎えたタイヤ選びだった。これまで4セットものサマータイヤを履き替えてきたが、どれもしっくりしなかったのだ。

そんな時、出会ったタイヤがミシュラン・パイロットスポーツ3(以下PS3)だった。PS3は世界のスーパースポーツが標準装着するミシュランパイロットシリーズの新世代スポーツタイヤとして登場し、スポーツカーのみならず、スポーツセダン/スポーツワゴンはもちろん、走りを意識したミニバンにも対応するプレミアムスポーツタイヤだ。ズバリ、乗り心地、リニアな操縦性、驚異的なウェットグリップ、そして耐久性をも求める欲張りユーザー向け。

PS3を装着したのは『オデッセイ・アブソルートV6』。ミニバンでありながら、新車からローダウンを施した、スポーティな走りも楽しめる1台。個人的にはまっとうなミニバンスタイル、パッケージにして、峠道を駆け回る楽しさをも兼ね備えているところが気に入り、今でも手放せないでいる。走行3万km。タイヤサイズは215/55R17である。

PS3に履き替えてまず感動したのが、最初のタイヤのひと転がりで体感できる乗り心地の良さと乗り味のスムーズさ。ステアリングの操舵フィールは明らかに軽く、雑味のない滑らかさが得られたように感じた。

街乗りや低中速域での乗り心地は劇的とも言えるほど快適だ。路面のザラつきの拾いにくさ、段差越えでのアタリの穏やかさなどが得られると同時に、重心の高いミニバンだからこそ欲しい路面からのインフォメーションをしっかりと伝えてくるところが嬉しい。

一方、高速域になるとしっかりとした縦バネ感、グリップ感を伝えてくれるから不安がない。いや、ドライバーおよび乗員が安心感に包まれる、と表現するのが適切だろう。タイヤの設計上、低速域の乗り心地と高速域での乗り心地や操縦安定性の両立はなかなか難しいとされるが、PS3はハイバランスで成立させている。

ペットとともに房総ドライブへ

今回はドライブが大好き、年間30台以上の新車に試乗している(!?)愛犬のマリアを乗せ、東京からアクアライン、館山道、房総フラワーラインを経由する南房総をドライブした。

オデッセイはと言えば、新車から9年目という車齢を隠す事が出来なかった。PS3を履く前は段差の乗り越えでのショックがキツく、またロードノイズも拾いやすいかった。PS3に履き替えた後は、乗り心地の違いを強く実感する。高速道路の継ぎ目を「タン、タン」と滑らかにしなやかに乗り越えていく。海の上を走るアクアラインで風切り音だけが気になるようになったのは、ロードノイズが気にならないレベルになっているからに他ならない。おかげでクルマ評論犬(!?)でもあるマリアは出発して間もないというのに気づくと寝息を立てている。「このクルマは快適ワン」。暗にそう評価しているのである。これまでは大きな段差を乗り越えるたびに、フッと目を覚ましていた。

意外かも知れないが、いいタイヤはブレーキフィールまでよくしてくれる。その理由のひとつがタイヤの真円性。どのタイヤも丸くて当然…というのは間違い。ミシュランはその真円性に特に優れた精度の高いタイヤを造れるメーカーでもあるのだ。

その日は午後からスコールのような雨に見舞われた。普通なら気持ちがブルーになってしまうところだが、今回は待ちわびた雨。PS3の大きな特徴でもある極めて高いウェット性能を試すいいチャンスだ。

房総フラワーラインは一部でカーブとアップダウンが連続、複合する区間があり、おそらく往来するトラックにえぐられたであろう深い水たまりがあちこちにあった。そんな路面を強行突破した場合、タイヤによってはスッとグリップが抜け、一瞬、血の気が引く不安に駆られたりするのだが、PS3のグリップ、路面からのインフォメーションは薄まることなく強力。とくに下り坂コーナーの水たまりで経験したブレーキング時の安定感・安心感は多くの人にこのタイヤを薦めたくなる格好の材料でもあった。

クルマの基本性能が高まった印象

そう、今乗っているクルマの基本性能が高まったような印象さえ受けるのがPS3なのである。ミシュラン独自の先進技術、ウェットグリップとブレーキ性能の高さを強く実感させる「ウェット・グリップ・エラストマー」や排水性の高さの面目躍如といったところだろう。

そんなPS3は、タイヤ交換時期になった比較的新しいクルマにはもちろん、乗り心地やロードノイズを主体とする静粛性、雨の日の走行安定性に不満が出てきた、ちょっと年数の経ったクルマにもお薦めだ。ドライバーが運転を楽しめ、乗員の安心安全に直結。更に静粛性にも優れることから、聴覚がいい愛犬を乗せドライブするにも最適なオールラウンド性能を持つスポーツタイヤだと断言できる。それだけにこれから、愛犬マリアとドライブする機会がさらに増えそうな予感がする。いや、今週末にでもどこかへ出掛けたくなる。そしていいタイヤは大切な愛車を長持ちさせる…そんな事実も忘れないでいただきたい。

《青山尚暉》

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