先月15日に日産が発売した『NV350キャラバン』には、これまで商用車マーケットで厳しい勝負を強いられてきたトヨタ『ハイエース』に対し、荷室長や燃費、価格などで徹底したライバル意識が見て取れる。では、実際の購入金額について両者に差はあるのだろうか。
今回比較対象とするのは、NV350キャラバンが「プレミアムGX」、ハイエースが「スーパーGL」で、どちらも個人使用も視野に入れたグレードだ。その他の仕様は、定員5名/低床/ロングボディ/2WD/AT/標準地仕様となる。
車両本体価格はNV350キャラバンが262万800円、ハイエースが263万5000円とわずかにNV350キャラバンが上回るが、助手席エアバッグやカーナビゲーションシステム、ETCなどの基本装備のみをオプションとして追加し、購入諸費用を加えた支払い総額は、NV350キャラバンが293万4951円、ハイエースが301万2254円とその差は大きくなる。
しかし、値引きを考慮すると、一転ハイエースが優位になる。都内ディーラーによれば、NV350キャラバンの値引き額は15万円程度なのに対し、ハイエースは30万円程度を見込めるという。したがって、乗り出し価格はNV350キャラバンが280万円弱、ハイエースが270万円強となる。
ただ、ハイエースの値引き幅が大きいのは、あくまでモデルチェンジから時期が経過していることが主な要因であり、特にNV350キャラバンを意識してのことではないという。そのため、ハイエースを購入する際に、NV350を引き合いに出すメリットはあまり大きくない。トヨタ系ディーラーの担当者が「ハイエースには圧倒的な実績がある」と語るように、強力なライバル登場にも商用車マーケットの"王者"は動じない構えだ。