三菱重工業は、厳しい環境規制に対応する多様な技術検証を行うためのフルスケール試験設備「4UE-X3」を神戸造船所(神戸市兵庫区)内に完成したと発表した。
完成した試験機は、シリンダ径600mmで4気筒の電子制御式。同社の舶用低速ディーゼルエンジン「三菱UE機関UEC60LSE-Eco」をベースにしたもの。2016年以降、窒素酸化物(NOx)排出量の80%削減を義務付ける国際海事機関(IMO)の第3次規制をクリアするための各種技術を検証するのに活用していく。
同社では、IMOの3次NOx規制についてはすでに選択触媒還元(SCR)システムを使って実船試験でNOx排出量80%削減を達成し、実用化に目処を付けている。今回の試験設備ではさらに、排気ガス再循環(EGR)システムの実機サイズでの技術検証を実施していく予定。
また、舶用エンジンの省エネ、コンパクト化などのニーズに応えるため、新構造や新技術の開発についても、試験設備を使って開発を加速させるほか、排熱回収技術の開発、天然ガスを燃料として使用できるデュアルフュエルエンジン「UEC-LSGi」の開発などにもこの試験設備を使って実証していく方針。